出版社内容情報
オランダ、ポルトガル、イギリス。近代におけるヨーロッパの台頭は、世界を一変させた。本書は、軍事革命、大西洋貿易、アジア進出など、その拡大の歴史を追う。
内容説明
ヨーロッパは他地域に対し、ずっと優位にあり、覇権を握っていたように思われてきた。しかし、それはたかだか一九世紀に達成されたことにすぎない。本書は、オランダ、ポルトガル、イギリスなど近代ヨーロッパ諸国が勢力を拡大し、世界を一変させた過程を追う一冊である。「軍事革命」で他の地域に優る軍事力を手にし、近代国家のシステムを発明。その後、大西洋貿易で力をつけ、アジアへ―。現在の世界は、どのように形成されたのか。そして、どこに向かっているのか。現代世界を考える上でも必読の一冊。
目次
序章 ヨーロッパ化した世界
第1章 軍事革命と近代国家
第2章 近代世界システムの誕生
第3章 大西洋貿易とヨーロッパの拡大
第4章 アジア進出とイギリス海洋帝国の勝利
終章 近代世界システムの終焉
著者等紹介
玉木俊明[タマキトシアキ]
1964年大阪市生まれ。同志社大学大学院文学研究科(文化史学専攻)博士後期課程単位取得退学。現在、京都産業大学経済学部教授。専門は近代ヨーロッパ経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
52
ヨーロッパはなぜ世界の覇者となりえたのか、経済史学的に考察した本。西洋史を勉強する上で、因果関係がかなり整理された。2015/12/14
ようはん
21
ヨーロッパが明確に世界を主導する形になるのは19世紀以降ではあるが、それまでの流れを見るとターニングポイントは新大陸発見でそこから生まれた植民地支配による経済と海運を主体とした交易の発展が大きい。アジアの雄であった中華は鄭和の大航海以後は海洋政策に消極的になったのが痛い2025/03/28
masabi
20
ヨーロッパがいかにアジアを圧倒し覇権を握ったのかについて述べられている。興味深いのだが、新書の分量に合わなかったように思える。それぞれの項目や用語を深堀りしてほしい。商人ネットワークが先行し、国家が支援利用する形でヨーロッパの膨張が始まり、ポルトガルやイギリスの海洋帝国が誕生する。イギリスが抜きん出た理由は各国との貿易や植民地貿易において徹底的に英国の利益になるようにゲームのルールを設定したからだ。海運業、保険、電信、自由貿易。2015/12/01
ピオリーヌ
15
ヨーロッパ中心主義について経済、特に貿易史の観点から平易に語られる。スペイン経済は十七世紀になると急速に衰退したという従来の説は貿易史の立場からは支持できず、スペインは十九世紀になっても、なおヨーロッパを代表する貿易国だったという。大西洋貿易の嚆矢はポルトガル、スペインと言われる。ただポルトガル、スペインはヘゲモニー国家とならなかった。その理由として、奴隷貿易の利益はポルトガルやスペインに蓄積されず、アントウェルペンに向かった可能性が高いという事が挙げられている。2021/02/20
coolflat
15
スペイン・ポルトガル→オランダ→英国と覇権は移り変わっていくが、なぜ英国が最終的に本当の意味での覇権国(=ヘゲモニー国家)となれたのか。その過程を、スペイン・ポルトガル・ベルギー(アントウェルペン)・オランダ・フランス・英国を通じ、解き明かしている。ヘゲモニー国家となれなかった理由として、スペインはベルギーの衛星国だった事。ポルトガルは植民地の経済と本国経済との結びつきが強くなかった事。フランスは資金調達能力(中央銀行)がなかった事。オランダは英国の様に中央集権化せず、重商主義政策を施さなかった事がある。2016/01/03
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