ちくま新書<br> 告発の正義

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ちくま新書
告発の正義

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  • サイズ 新書判/ページ数 212p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480068477
  • NDC分類 327.63
  • Cコード C0232

出版社内容情報

公訴権を独占してきた「検察の正義」と不正や不祥事を捜査機関に申告する「告発の正義」との対立、激変する両者の関係を腑分け。問題点から可能性まで考察する。

内容説明

告発によって企業不祥事や談合が発覚、または政治汚職や脱税などが明らかにされ、捜査がはじまることが増えてきた。告発をしやすくするための法的・制度的な環境も整備されつつある。けれど起訴するかしないかの判断は、従来、検察が独占するものだった。そのため「検察の正義」と「告発の正義」は、たびたび衝突・対立を繰り返してきたし、現在でも相克は続いている。本書は、告発とは何であるかをさまざまな事件や法的観点から腑分け。その問題点から可能性まで、考えるべき論点を提示する。

目次

第1章 「社会的事象としての告発」をめぐる構図(「告発」をめぐる状況変化と「ホイッスルブローワー」;雪印食品牛肉偽装事件におけるホイッスルブローワー ほか)
第2章 「法律上の告発」の諸相(刑事訴訟法における告発に関する規定;「告発の正義」と「検察の正義」 ほか)
第3章 「告発の正義」と「検察の正義」―対立の系譜(石油カルテル事件と検事総長の批判;「検察の正義」が公取委「告発の正義」に完全敗北 ほか)
第4章 激変する「告発の正義」と「検察の正義」の関係(小沢公判で表面化した検審起訴議決への誘導;「検察の正義」さえ覆そうとする画策 ほか)
第5章 美濃加茂市長事件における「告発の正義」(岐阜県美濃加茂市長の「事件」;現金授受を全面否認する市長に有力な裏付け ほか)

著者等紹介

郷原信郎[ゴウハラノブオ]
1955年島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、06年弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。関西大学客員教授。企業・官庁の不祥事対応でも活躍するコンプライアンスの第一人者であり、これまで総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員長・コンプライアンス室長などを歴任した。また由良秀之のペンネームで執筆した小説『司法記者』はテレビドラマ化された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

25
悪事を暴く。不正を世間に知らせる(009頁)。オリンパス問題の本質:証券市場に対する公正な開示を行う義務に違反したこと(026頁)。検察不祥事が不当な告発・起訴・控訴の背景か(136頁~)。5000万円資金提供で都知事辞任(146頁~)。検察のターゲットにされた政治家は、刑事事件としての起訴・処罰という検察官の本来の職務でなく、マスコミ報道による社会的、政治的批判で追い込まれる(149頁)。悪質な融資詐欺が立件・起訴されない理由(165頁~)。2015/12/27

大先生

11
さすが元検事。検察組織の闇がよく分かる一冊です。特に公正取引委員会と検察の関係については勉強になりました。それにしても検察の「無謬性へのこだわり」は異常だと思いますね。勿論、杜撰な捜査で無罪を連発されては困りますが、現状としては、確実に有罪に持ち込めると思われる事案でなければ起訴しないという検察の姿勢のせいで多くの犯罪者が罪に問われないまま被害者が泣き寝入りしているという現実もあると思います。その反面、一度起訴すると冤罪の可能性が出てきても絶対に有罪に持ち込もうとする…。もう少し柔軟になって下さいよ(汗)2022/06/08

てくてく

5
コンプライアンス違反などを内部告発する法整備はされたものの、それが十分に生かされているか、といわれるとそうではない現在において、告発の正義として起訴をつかさどる検察の正義とは何が違うのかを、自身が取り扱った事件の紹介などを通じて説こうとした本。十分に理解するには再読が必要だと思われる。2016/03/15

お抹茶

1
元検事による「告発の正義」と「検察の正義」を実際の事件の舞台裏を明かしながら論じる。雪印食品とオリンパスの企業不祥事は内部告発で明らかになったが,マスコミによって背景の構造的問題が単純化され,廃業や刑事処罰という行き過ぎた結果になった。公取委の調査では企業の組織全体の違反行為を推認するが,立証できる証拠を揃えて個人の違法行為を明らかにするのが検察。陸山会事件をめぐる虚偽捜査報告書作成事件では,市民団体の告発の正義で検察の正義の威信は地に堕ちた。2019/03/09

130

0
検察が己の正義基づき行動するのは以前から知られているが、元内部所が書いた内容としては、やや物足りない感はあるが、読みやすい内容であった。 美濃加茂市長の事件が一審では、無罪となったが、先日有罪が確定した。今後の異議申し立て、再審請求がどうなるか目が離せない。 組織としての警察、検察、裁判所は相変わらず糞だと感じる1冊。2017/12/20

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