ちくま新書<br> 軍国日本と『孫子』

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ちくま新書
軍国日本と『孫子』

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  • サイズ 新書判/ページ数 253p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480068347
  • NDC分類 399.2
  • Cコード C0231

出版社内容情報

日本の軍国化が進む中、精神的実践的支柱として利用された『孫子』。なぜ日本は下策とされる長期消耗戦を辿り、敗戦に至ったか? 中国古典に秘められた近代史!

内容説明

今日も日本人に愛読される『孫子』。しかし、この中国古典と近代日本には秘められた関係がある。日本の軍国化が進むにつれ、『孫子』は精神的・実践的支柱となっていったのだ。各種軍令には『孫子』と共通する点があるとされ、実戦的『孫子』解説までが登場する。しかし実際の日本は、『孫子』が最も下策だとする長期消耗戦に突入していく時代、『孫子』はどのように読まれたのか。昭和天皇は敗因をどう分析したか。日本はなぜ戦争を始め、また敗れたのか。『孫子』の兵法を手がかりに考える。

目次

第1章 日本人は『孫子』を正しく理解していたのか
第2章 精神的支柱としての『孫子』―明治時代の兵学
第3章 日露戦争の余韻―大正時代の『孫子』
第4章 栄光ある孤立へ―昭和の『孫子』
第5章 『孫子』との訣別
終章 戦争の書から商戦の書へ

著者等紹介

湯浅邦弘[ユアサクニヒロ]
1957年島根県生まれ。大阪大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。北海道教育大学講師、島根大学助教授、大阪大学助教授を経て、大阪大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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無重力蜜柑

10
日本帝国の孫子受容という着眼点はユニーク。中国古典学者というだけあり、大江匡房の戦争理論なんていう聞いたこともない書物が出て来てすごい。ただ、肝心の歴史観が司馬遼太郎なのが歴史家でないが故の限界か。基本的に「明治までの開明的な日本は昭和になって堕落した」式の議論で、それを各時代の日本人が「孫子を正しく読めているか否か」で検証する形。その検証にも筆者の結論ありきの独断が目立つ。何より取り上げている文献が各時代の通俗孫子本なのが厳しい。それ自体は興味深い研究対象だが、それをもって時代の孫子観と断じて良いのか。2023/11/05

さとうしん

9
近代日本で『孫子』がどのように読まれ、あるいは読まれなくなったのかという話。終章の、戦後になって『孫子』がビジネスのための啓蒙書として読まれるようになっていく過程をもう少し丁寧に追ったら面白いのではないかと思った。2015/06/11

Gamemaker_K

8
日本が太平洋戦争に勝利するためのシナリオをきちんと描けた人がいなかったみたいだし、「孫子」云々という問題ではなかったんだとは思う。…歴史にタラレバは厳禁だが、仮に日本が太平洋戦争で快勝していたらどうなってただろうね、今。2019/05/07

isao_key

7
『昭和天皇実録』が公開されたのに際し、閲覧する機会を得た著者は、『昭和天皇独白録』で天皇ご自身が分析されていた大東亜戦争の敗戦に対する分析が正しく認定されているかを確認しようとする。天皇が第一に挙げられていたのが、兵法の研究が不十分であったこと。具体的には『孫子』の根本原理を体得していなかったことを述べられていた。そこで日本で古くから読まれている『孫子』について近代日本と戦争の観点から調べたのが本書である。明治から戦後まで多数の孫子についての解説本があった。それらを通じて戦争当時の考え方を探り出している。2015/10/31

はちめ

3
戦争への道がどのような経路をたどったかを示す一書。昭和天皇の言葉が示すように当時の軍部における孫子の誤読は大きな影響を与えたのだと思う。大江匡房の闘戦経は知らなかった。大江匡房はどこでその思想を育んだのだろうか?2016/01/17

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