出版社内容情報
「出口は黄色、入口は緑」。シンプルかつ斬新なスタイルで日本の駅の案内を世界レベルに引き上げた第一人者が、豊富なカラー図版でデザイン思想の真髄を伝える。
内容説明
駅の出口の案内は黄色。東京の地下鉄の案内表示は各ラインカラーの「○」―こうした日本の駅のデザインを決めてきたサイン設計の第一人者が、駅のデザインを、自身の手がけた豊富な実例をもとに語り尽くす。案内表示に求められるものとは何か、そのデザイン思想とはいかなるものか、一九七〇年代に始まった日本の空間・サイン整備の歴史をたどりつつ論じ、現在の日本と海外の駅とを比較。混迷を深める日本の公共空間を批判的に検討し、利用者本位の、交通システムのあるべき姿を展望する。
目次
第1章 駅デザインとは何か
第2章 案内サイン
第3章 空間構成
第4章 海外の駅デザイン
第5章 日本の駅デザイン
第6章 これからの駅デザイン
著者等紹介
赤瀬達三[アカセタツゾウ]
1946年生まれ。デザインディレクター。東京大学博士(工学)。営団地下鉄、みなとみらい線、つくばエクスプレス、高速道路などの交通施設やアークヒルズ、六本木ヒルズなどの大規模複合施設のサイン計画に従事。黎デザイン総合計画研究所を設立し、現在、代表取締役。千葉大学教授としても教鞭をとり、現在は千葉大学特別講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
31
☆☆☆☆ 普段何気なく歩いている地下鉄の空間だが、この書を読んでからは、ホーム、改札、通路、出口に様々な表示、サインが溢れているのに目が着くようになった。我々が相応の時間を過ごしているだけに、交通機関の快適性は重要。快適な空間を創造、維持するために、施されるサインや建設上の工夫に、感心した。それにしてもいつも思うが、東京の地下鉄は迷宮だ。2016/02/19
水色系
19
図書館の本棚を眺めてて物凄く気になった本。フルカラーで写真付きで面白い。大きい駅に行ったときにわかりやすくデザインされているか見てみるのが楽しみになった。フォントやカラーにも気を付けて内装を工夫している、というのが興味深い。2023/05/31
akira
19
図書館本。 カラー写真も多めの一冊。世界の駅も多く紹介されていて見ているだけでも楽しい。ユニバーサルデザインはよく言われているが、ピクトグラムの採用など少しは良くなってる気もする。 そういえばと思い出す東京の駅。新宿駅や東京駅はなかなかひどい。日本人でもわかりにくいから外国人の方々にとっては厳しそうだなと。ランドマークが近くにあればまた話は違うんだろうけど。 「『中央西口』と『西口』」2019/10/05
ふろんた
18
駅構内の案内掲示はそこにある企業の都合で形作るのではなく、利用者がどこの駅でも同じ認識で見ることのできるパブリックデザインの重要性を説く。確かに東急の渋谷駅とみなとみらい線は対比するのにもってこいだよね。2015/11/26
zirou1984
15
つまるところ日本の都市空間に欠けているのは、公共空間という概念なのだろう。企業がそれぞれに自らの利益都合でデザインした駅というのは、概して乗り換えが不便であり。利用者にとって不都合なものである。本書は海外の駅空間と日本のそれとを比較し、副都心線渋谷駅に代表される駅空間の失敗例についてなぜ失敗しているのかを明らかにしながら例示する。個人的に大変興味深いのだが、日本におけるデザインの成功例として挙げられるのがよりによって値段の高いみなとみらい線というのが複雑な気持ちになってしまった。2020/11/03