内容説明
神は死んだ(ニーチェもね)。いまや世界のありようを解明するのは科学である。万物は詰まるところ素粒子のダンスにすぎないのだ。こうした世界観のもとでは、哲学が得意げに語ってきたものたちが、そもそも本当に存在するのかさえ疑わしい。「ことばの意味とは何か」「私たちは自由意志をもつのか」「道徳は可能か」、そして「人生に意味はあるのか」…すべての哲学問題は、根底から問い直される必要がある!科学が明らかにした世界像のただなかで人間とは何かを探究する、最もラディカルにして普遍的な入門書。他に類を見ない傑作です。
目次
序 これがホントの哲学だ
第1章 意味
第2章 機能
第3章 情報
第4章 表象
第5章 目的
第6章 自由
第7章 道徳
人生の意味―むすびにかえて
著者等紹介
戸田山和久[トダヤマカズヒサ]
1958年東京都生まれ。1989年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学。現在、名古屋大学大学院情報科学研究科教授。専攻は科学哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
82
脳みそフル回転とてもしんどいが読み応えあり、読み応えあり。2017/02/20
harass
66
積読本消化。ベタな題名だがトンデモなく野心に満ちた新書。現代科学哲学を駆使し意味、目的、自由、道徳などを論じる。徹底的にモノ、唯物論の科学哲学で、曖昧で予断に満ちた伝統哲学の概念を再構成し、結果として人間の道徳や人生の意味とは何かまで論じる分厚い新書。耳慣れない学者名が多数。引用される思考実験が豊富だ。独特の口調で抽象度が高い箇所があるのは確かだが実に刺激的な本だ。よくまあ微妙な問題を区別して言葉にするなあと感心するばかり。哲学的センスとはどういうことかがよく分かる。永井均の著作を連想した。良書。2017/05/26
WATA
63
本書は普通の哲学入門書ではない。哲学的なものの考え方の入門書である。もっと言えば、「私は世界をこう見る」という著者の意見表明書である。この世は物理的なものの相互作用でできているという唯物論的世界観をベースに、「意味」「機能」「目的」「自由」「道徳」といった精神的な概念を世界に組み込んでいき、「意味や目的はちゃんと物理的世界に存在するんだ!」と証明しようとする試みはとてもスリリングで面白い。哲学することの本質、哲学することの楽しさを真摯に伝えてくれる素晴らしい入門書。2014/04/25
ころこ
44
「心脳問題」を入り口にした、科学的唯物論の立場における哲学入門です。論点が科学的思考に哲学が入り込もうとするときに、これは哲学か、それとも哲学でないか躊躇します。後半に進むにつれ、人生の目的や自由など、よくありがちな問題に本書を合流させていますが、それらの問いは本書が答えるのにちょうど良い大きさをしています。と同時に、その問いを答えられる前提に本書の土台にあらかじめ設定され、誘導されていることにも気づきます。そのような著者の隠れた暴力性に気づくことこそ哲学でしょう。本書では、表象がマジックワードになります2019/10/10
抹茶モナカ
40
自分の中の哲学熱から、読んでみた。哲学史的に過去の哲学者の話を並べた本ではなく、幾つかのテーマで思考を展開して、わかりやすい文体で書いた本で、読み終わってみて、なんとなく哲学の本だったんだな、という本。分厚くて、難しい本のように思ったら、お茶目な文体なので、読みやすかった。でも、自分が哲学のどの分野に入門しているのか、よくわからなくて、「考えながら読んだ。」という点で、哲学だったのね、という印象が個人的に強い。2015/12/13