ちくま新書
日本型雇用の真実

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480067234
  • NDC分類 366
  • Cコード C0236

出版社内容情報

雇用流動化論は欺瞞である。日本型雇用は終わっていない。労働力を商品と見て、競争を煽ってきた旧来の労働経済学を徹底批判。働く人本位の経済体制を構想する。

内容説明

一九九〇年代後半以降、構造改革や規制緩和で使命を終えたとされた日本型雇用。だがその雇用安定機能や人材育成機能は、今も労働者の生活安定、職業能力形成に大きく寄与している。日本型雇用の意義を再評価するだけでなく、新たに積極的な構築を試みる本書は同時に、市場原理になじまない労働力を商品と見て、労働者一人一人に市場価値を競わせる論理を蔓延させてきた従来の労働経済学を徹底批判。その背景にある新古典派経済学に警鐘を鳴らし、真の科学とは何かを問い直す。

目次

第1章 雇用問題の真実―私たちは正しい問題設定ができているか(マーシャリアンクロスの罠;近代科学の呪縛 ほか)
第2章 労働経済学と構造改革―新古典派経済学の危険な理論構造(OECDの労働市場研究;対日審査が突きつけたもの ほか)
第3章 構造改革の顛末―社会を壊す力とそれを復元する力(破壊された福祉国家とその理念;格差社会幻想論と欺瞞の経済運営 ほか)
第4章 労働経済学とは何だったのか―近代科学と市場主義の落とし子(労働経済学の問題性;労働経済学の歴史 ほか)
第5章 転換する世界と日本の価値―これからの経済政策と経済思想(経済学とは何だろうか;転換する世界と経済学 ほか)

著者等紹介

石水喜夫[イシミズヨシオ]
京都大学教授。1965年生まれ。1989年立教大学経済学部卒業、労働省入省。経済企画庁、日本労働研究機構などを経て、2005年より厚生労働省労働経済調査官として労働経済白書を執筆。2011年に現職。経済学部で労働経済論、大学院で雇用システム論などを担当。『現代雇用政策の論理』(依光正哲教授との共著、新評論)で沖永賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

14
新自由主義的な労働観、雇用流動化論に対する闘争の書。武器は倫理や社会的公正さでもなければ(経済合理性の主張に対しそれでは堂堂めぐりにしかならない)、社会疫学的な功利主義ではなく(それではこの本の仮想敵である学問の世界に閉じこもった人はひっぱりだせない)、ケインズベースの純粋経済学の理論で正面から立ち向かう。限界○○だったり「適正な資本係数」だったり、使われている経済学のツールの個々についてはついてくだけで精いっぱいだけれど、「神の見えざる手」を人口減少社会において使用不能に追い込む手練手管はスリリングだ。2013/07/23

砂王

5
日本型経営の良さは、凄くわかるんですけどね。でも、そこに入りたいけれど、仲間になりたいけれど、入り方がよくわからない、入れない人たちもいるわけだし。是非とも、うまいすみわけをしてほしいと同時に、「仕事基準」ではなく、「人間基準」であることを認知させる努力も必要でしょうよ。2016/01/18

ぽん教授(非実在系)

4
著者は労働経済学が専門ドであるため、タイトルに反して(?)経営学というよりは経済学寄りの話だった。財と根本的に異なる労働力市場において、新古典派的経済観をそのまま労働経済学に代入してはいけない、という内容でありここはよく言われる論点であるが、最後の方の「ハロッド=ドーマーの経済成長論であるナイフエッジ理論は未だに有効である」という観点での論理展開は斬新で面白かった。2015/07/21

大道寺

4
人口減少の世における労働経済学を論ずる。新古典派経済学ではなくケインズの理論こそが人口減少社会の理論であるという主張。/社会の豊かさの基盤になるシステムに社会を統制して投資をさせようというのはまあ同意。そのことのデメリットについてはまだあまり考えていませんが。/著者は労働官僚を経て京都大学教授。2013/12/29

鬼山とんぼ

3
現在主流である「新古典派経済学」は情報が全参加者に瞬時に伝わる中での完全自由競争を前提条件としており、実情とかけ離れている事実は多く指摘されている。さらに労働市場は、会社や個人、時代や経済環境により千差万別であり、そこに主流派経済学を基礎とした「市場原理主義」を持ち込んで政治運営をしてしまったから、大変なことになってしまっている、ということだろう。伊東光晴京大名誉教授の説と通底している。著者の主張は論理的で、よく実情を把握しており、賛成できるが、語られる内容と題名がマッチしているとは思えない。そこは残念。2019/04/14

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