内容説明
中央集権国家としての日本はすでに破綻に瀕している。疲弊した制度は、もはや小手先の改革ではどうにもならない。いまこそ、新しい地方分権の在り方を構想することが必要である。「道州制」を考えることは、この国のかたちを考えることなのだ。東京をはじめとした大都市をどうするか。また、道州制にふさわしいガバナンスとは何か。地方分権の理念を分かりやすく説きながら、諸外国との比較、様々なデータを参照しつつ、この国の将来を考える。
目次
第１章 地域主権国家とは
第２章 なぜ、道州制なのか
第３章 道州制とは何か
第４章 道州制の設計
第５章 道州制と税財政
第６章 東京をどうする
第７章 大都市をどうする
第８章 変わる海外の自治制度
著者等紹介
佐々木信夫［ササキノブオ］
１９４８年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了、法学博士（慶應義塾大学）。東京都庁勤務を経て、８９年聖学院大学教授、９４年中央大学教授。米カリフォルニア大学（ＵＣＬＡ）客員研究員、２００１年から中央大学大学院経済学研究科教授。専門は行政学、地方自治論。日本自治創造学会会長、慶應義塾大学講師、日本学術会議連携会員など兼任。テレビ解説、講演、執筆活動も精力的に展開。日本都市学会賞、ＮＨＫ地域放送文化賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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おおかみ
11
140年前から続く47都道府県制度は確かに維持すべき理由に乏しい。一般的に活発な議論が交わされているとは言えない道州制は、簡素で効率的な政府への転換を図るものであり、今こそ論じられなければならないものだと思う。とはいえ、その賛否はもちろん、構想も無数に存在し、前途遼遠であることがよく分かる。いずれにせよ、根本的な構造改革を視野に入れなければ将来を展望することができないのは事実ではないか。2011/02/04
nchiba
4
北海道に住んでいると道州制は手の届かない話ではないと思う。ただ、大都市をどうするかという観点はあまり考えたことがなかった。札幌は特別市として、道庁を地理的な中心に近い旭川に移転して北海道全体を統治するというスタイルは悪くないような気がする。いずれにしても政府を小さくしてコストを下げることは急務。国政の停滞を打ち破るためにも道州制は良い選択肢ではないかと感じた。2011/04/05
tochinoarasi
3
現行の47都道府県になって100年以上。交通網や産業圏などあらゆる面で人間の活動スタイルが変わっている今、これは細かすぎて時代に合わない。全国10前後の道州にし、立法権を含む大幅な権限をここに委譲。東京の区部や横浜、名古屋などの大規模な地域については道州と同程度の権限を持つ特別市ないし都市州にする。今の地方自治体は歳入＜歳出になっているから国の交付金に頼らざるを得ず、自由度がない。日本は共産主義じゃないんだし、そろそろ全体の「均衡」よりも各地域の「自主・自立」重視に切り替えてもいいのではないか。2010/12/24
まままま
2
道州制って結局なんのための制度なんでしょうか。第28次地方制度調査会の最終答申によると、①地方分権を進めて、住民主導の多様な経済活動や生活が営めるようにする。②東京一極集中の是正。③簡素で効率的な政府システムづくり。（二重行政をなくす。）だそうです。著者自身も認めていますが、目的・メリットがわかりにくいです。政治への失望感からくる政治的無関心を前提とすると、①のメリットは感じられませんが、政治的無関心が現行制度による「結果」と捉えると、日本が大きく生まれ変わる可能性を大いに感じます。2017/12/24
Hachi_bee
2
道州制はただの都道府県合併ではなかったのですね。んでもって、一口に道州制といっても色々な制度があることもわかりました。政治家の皆さんがどんな道州制をイメージして口にしているか、報道各社がわかりやすく分析して票にしてくれると嬉しいなぁ。でも、道州制を導入しなくてもできる改革はありそう。税の三重構造解消なんか、税法を変えれば済むハズなんですけどねぇ。2011/11/27
