ちくま新書
愛と憎しみの新宿―半径一キロの日本近代史

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  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480065551
  • NDC分類 213.6
  • Cコード C0295

出版社内容情報

六〇年代の新宿。そこは伝説的なジャズ・バーや映画館などが集まる文化工場だった。濁愛、陰謀、阿鼻叫喚が混淆し、戦後日本の闇鍋を作った都市を描く地下文化史。

内容説明

一九六〇~七〇年代の新宿。そこは伝説的なジャズ・バーやシネマテークなどが集まる巨大な文化工場だった。風月堂、紀伊國屋書店、文壇バー、ATG新宿文化をはじめ、異形な場所に奇怪な人間たちがひしめきあって、戦後日本文化の闇鍋を形作った。一方で、歌舞伎町や要通り、旭町や二丁目などなど、喰い物やSEXを入力するとたちまち爆発的に膨張する欲望の街でもあった。新宿二丁目の赤線地帯で生まれ育った思想家が、濁愛、陰謀、宇宙の文学や悪魔の建築、阿鼻叫喚に劣情有理、ありとあらゆる運動を包みこんだ新宿の奥座敷を七転八倒して活写する異色の地下文化史。

目次

第1章 街を貪る―一九六九年
第2章 先住民のボサノバ
第3章 ネズミたちの映画―若松孝二の『劣情有理』
第4章 千の沼
第5章 夏目漱石の新宿二丁目
第6章 抉り取られた街―浜昇のカメラが見たもの
第7章 地底の街

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

inokori

8
世代を超えてこの本を読みたいと思うだろうかと考えると難しい.こっちも休日とはいえ昼間から飲まなきゃ通読できなかったかもしれないから.「「一九六八年」とい名の「討ち入り」を生きた世代の多くが企業社会に仕える忠臣となり,この物語が幕を閉じたあとに現れた世代もまた「官僚」「既得権者」「団塊世代」という小権力者たちを憎むあまり,新自由主義者や嫌韓嫌中という「仇討ち」の世界に閉じ込められている」(pp.133-134)とだけメモしていた.2010/09/12

どんぐり

6
生理的に嫌いな文章である。それも読者にとっては好悪分かれるところだ。1960-70年代の新宿へのオマージュ、そしてちょっと遅れた全共闘世代のカルチャーを引きずっていて、変な意味で青臭く、鼻持ちならない。40年前のカルチャーの仮面をかぶって、それも一人悦に入って、俺の生まれ過ごした小宇宙の新宿を文化の衣を着せて大宇宙のように臆面もなく語っている。あの時代を、いまを生きる人に語るにはもはやはるか昔で、当時の都市文化を語る意味がどこにあるのか余計その隔たりを感じてしまう。50歳以上の人には懐かしいかもしれないが2011/09/14

長老みさわ/dutch

6
すごいドライブ感。 エッセイ?評論?ただの自分語り?? 新宿二丁目の洗濯屋の子供として生まれた著者が、生まれた場所から半径1Km以内の新宿と、そこでの生い立ちを語ることによって、時間的には内藤新宿の成立から現代(2010年の今)まで。空間的には山谷のドヤ街を経てパレスチナまでを縦横無尽に語りつくす。 自分語りをすることで世界を評論してしまおうというような一冊。 とにかく文体がいい。読者をぐいぐい引張っていく感じがする。 恐らく私はこの本の半分も理解できてない気がするんだけれど、とにかく読ませる。2010/09/21

たらら

5
食い物、音楽、映画、写真、存在して駆け抜けて消えていった人々、そして建築。新宿が失ったものと失わなかったものを限りなく私に引きつけて語る。あまりの脈絡のなさに茫然としながら読み始めたが、そもそも脈絡なぞなく、語り口そのものが新宿の猥雑さとひとつになってしまう。アナーキスト/革命家・山口健二から始まる最終章は圧巻。奇書のひとつに入れたい。2011/08/18

JunTHR

4
異様な勢いと熱のある文体でコラージュされる「68年」を起点とする新宿の文化史。自分のまったく知らない新宿の姿が垣間見れた。 映画・文学・建築・写真などなど、膨大な引き出しから引っぱり出した知識と思い出と哲学と想いとが、ごった煮にされ、一気呵成に吐き出される。圧倒された。正直困惑した。多分消化できなかった。でも面白かった。 あとがきの「またしても名付けようのないものを書いてしまったな、という思いがしている。間違いなくこれは、若い頃から聴いていた即興演奏の流儀である」という言葉に納得。まさに。2012/12/20

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