内容説明
二〇〇八年秋に発生した金融危機が如実に示したように、資本主義は不安定で不公正な取引を生み出す要素を抱え込んでいる。この問題に対処すべく、人々はこれまでさまざまな「制度」を生成進化させてきた。本書は、現在の世界的経済危機にいたるまでの市場と制度の進化を丹念にたどりなおし、今後「市場と社会」の調和を図るためにはどのような制度改革が望ましいのかを提言する。
目次
序章 市場と制度
第1章 市場は効率的か?
第2章 市場は公正か?
第3章 大恐慌はなぜ起こったのか?
第4章 資本主義の黄金時代
第5章 黄金時代はなぜ終わったのか?
第6章 平成不況はなぜ長期化したのか?
第7章 アメリカ型「証券化」資本主義の破綻
終章 「市場と社会」の調和をめざして
著者等紹介
柴田徳太郎[シバタトクタロウ]
1951年生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。西南学院大学助教授を経て、東京大学大学院経済学研究科教授。専攻は現代資本主義論、アメリカ経済論、制度の経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
11
読書家に元旦もない。知的好奇心に暦は無関係。2007年参院選、安倍自民党は格差拡大で惨敗(008頁)。あれから7年。評者の見通しは暗いもの。TPP、消費増税、ICカードと矢継ぎ早に国民にとっては厳しい暮らしに不自由が強いられるだろうから。市場といえどもルールに支えられている(014頁)。投資は「群集心理の産物」に依存(037頁)。下馬評というか、何を判断基準にしていくか。賢い消費はどこにあるか。「正規雇用労働者をきちんと確保し育成していくことが長期的な成長の基盤であることを忘れてはならない」(051頁)。2014/01/01
Masaki Izumi
1
制度進化の必要性が提示される硬質な議論。適宜挿入される「まとめ」を頼りに何とか読んでみた。2012/03/30
孤独な読書人
1
アジア共通通貨構想は現在進行中のユーロ危機を考えると危険だと思った。2012/01/30
キャベツ
0
不況や金融恐慌が発生する制度的要因を知ることができた2014/12/16