内容説明
子どもを襲い、残酷に殺害。そして死刑が執行された宮崎勤と宅間守。また、確定囚として拘置されている小林薫。彼らは取り調べでも裁判でも謝罪をいっさい口にせず、あるいはむしろ積極的に死刑になることを希望した。では、彼らにとって死とは何なのか。その凶行は、特殊な人間による特殊な犯罪だったのか。極刑をもって犯罪者を裁くとは、一体どういうことなのか。彼らと長期間交流し「肉声」を世に発信してきたジャーナリストが、残忍で、強烈な事件のインパクトゆえに見過ごされてきた、彼らに共通する「闇と真実」に迫る。
目次
序章 死刑に犯罪抑止力はあるか
第1章 すべては夢の中
第2章 孤独感と殺意
第3章 底なしの憎悪、むき出しの悪意
第4章 死刑への向き合い方
終章 凶悪犯罪に社会はどう対処すべきか
著者等紹介
篠田博之[シノダヒロユキ]
1951年生まれ。一橋大学卒。メディア批評誌・月刊「創」編集長。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
196
発刊当時の死刑囚を追った一冊。やはり人を殺す人の思考というのは普通の人に理解できないな。2020/02/09
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
43
著者が関わった宮崎勤、小林薫、宅間守の3人に焦点をあてて書かれている。残虐な事件を起こした鬼畜たち。彼らの思い、言動には虫酸が走った。関わったからなのか、彼らに共感のような表現が多々見受けられ、そこは中立ではないように感じられ、納得のいくものでなかった。ただ死刑に欲しいと臨む加害者を死刑に処するのは、果たして罪を償う事になるのだろうか・・。死刑問題は反対ではないけれど、色々と考えさせられた。2021/05/07
マイケル
16
1章連続幼女殺害事件の犯人は手に障害のあるビデオオタク。祖父を甦らせる謎の儀式、ニセモノの両親や襲ってくるネズミ人間など本当に責任能力有りか。3章池田小殺人事件の犯人、ガソリン使えばもっと殺せたとの手記は京アニ事件を思い出す。反省も謝罪もない。しかし獄中結婚していた、男女関係は分からない。2章奈良事件犯人は弟出産時に母の死。最近読んだ本「双子の遺伝子」の中の「悪の遺伝子」ではないが、犯罪者は遺伝か環境か。死刑執行という殺人。「ジャッジメント(小林由香)」を読んで本当に死刑制度が正しいのか分からなくなった。2021/03/25
けんちゃん
16
社会を震撼させた幼い子どもたちの殺害、その死刑囚たちとのやりとりから、事件をそして死刑囚たちをみつめます。被害者感情を考えれば、彼らの言い分のなんと身勝手なことか、と思わざるを得ません。成長の過程で彼らが受けた傷、もしそれがなかったら…とも考えてしまいます。死刑が本当の意味での償いになるのか、死刑にして欲しいと臨む加害者を死刑に処すことはどうなのか…いろいろなことを考えました。2016/05/24
那由田 忠
9
「罪を償う」とはどういうことかを問うて、死刑が執行された宮崎勤、小林薫、宅間守の三人について、『創』編集者が交わしたやりとりから彼らの「真情」を紹介している。死刑となることを逃げようとせず、ただ裁判で誤って判断された真実を正したかったり、薬殺を願ったりしている。宅間には女性が獄中結婚していて、彼女は他者の痛みがわかる心を芽生えさせたかったらしい。宅間はそうした妻に優しい態度を示している。 マスコミ報道から分からない彼らの「真実」を知られる。無期懲役囚二千人ほどに百人増えてもいいと思っている。2014/07/06