ちくま新書
仕事と日本人

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  • サイズ 新書判/ページ数 299p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480064066
  • NDC分類 366
  • Cコード C0236

内容説明

資本主義であれ社会主義であれ、近代以降のあらゆる国家は「労働」を賛美してきた。しかし、こうした仕事観が常識となったのは、それほど昔のことではない。私たちの御先祖様は、金回りがよくなると、仕事を勝手に休んでいた。彼らは「労働の主人」たりえたのだ。それに比べて、現代の労働のなんと窮屈なことか。仕事の姿は、「会社」の誕生によって大きく変わったのである―。江戸時代から現代までの仕事のあり方をたどり、近代的な労働観を超える道を探る「仕事」の日本史200年。

目次

第1章 豊かな国の今、問われる選択
第2章 「労働」という言葉
第3章 「仕事」の世界、「はたらき」の世界
第4章 「労働」観念の成立
第5章 時間の規律
第6章 残業の意味
第7章 賃金と仕事の評価
第8章 近代的な労働観の超克

著者等紹介

武田晴人[タケダハルヒト]
1949年生まれ。経済学博士。専攻は日本経済史。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。現在、同大学院経済学研究科教授。近世から現代までの経済現象をさまざまな視角から研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

読書実践家

9
残業が恥という考え方もあり、高度経済成長には必要だという考え方もある。過労死とバカンス、育児休暇、教員の過重労働。その中でワークライフバランスを考えることがこれからの未来、重要となってくる。2016/04/02

読書実践家

9
社会で生きて行く上で労働は不可欠になってくる。特に日本人は勤勉な国民として有名である。「勤勉こそ美徳」という価値観に幅を持たせる必要もあるかもしれない。終身雇用制や年功序列型賃金といった日本の高度経済成長を支えてきた制度も新し時代を迎え、変化が要求され始めている。ワークライフバランスを重視することは幸福論にもつながる重要なテーマだ。2016/03/26

れなち

7
第3章、第4章がおもしろい。江戸の農民や明治の労働者は勤勉だったのか、あるいは怠惰だったのか。そもそも論として、仕事への取り組みを「怠惰」と評するのはどういう時間感覚によっているのか。仕事を時間で区切るようになるから、遅刻や残業があり、労働と生活の区別が生まれる。戦後の労働問題は今に繋がる部分も多く、「働き方改革」の話題が意外と昔から行われていたことがわかる。逆に言えば、歴史に深く根ざした労働問題を解決するのは簡単ではないということかも…。ちなみに、「昔の若者」も残業は嫌がったそうです。笑2021/04/22

にゃん吉

5
労働、労働時間といった労働に関する概念の形成過程を追いつつ、日本人の労働を考える。新自由主義の可否といった議論が盛んな頃の本ですが、古いカンジはしません。ずっとそうだったと固定観念のある概念を相対化する視点は、今後のあるべき労働を考える上で重要かと。個別の話も興味深く、特に、工場の誕生と規律になじまない労働者の話が面白い。日本では、朝出勤の記録を残して工場を出て、昼食時に戻ってくる元職人がいたとか、アメリカでも、就業時間に、従業員が皆酔っ払ったり、皆で海岸に遊びに行ったりして、雇用主を悩ませたとか。   2019/12/30

ごる

4
教材研究用に読了。あとがきで、本書は筆者の読書ノートと書いてあるが、確かに、数多くの先行研究から色々なデータや意見を引いている。でも、とってもわかりやすかった。労働はどのように捉えられてきたのかを丁寧に論じている。公民のために読んだが、近代化の歴史の授業を行う上でも有益な情報がのっていた。お金というインセンティブが発生しない労働というのを想像しずらい私は十二分に近代的な労働観の持ち主なのでしょう。家事労働など、対価としてお金がない労働が多い方が社会的には豊かなの?ああ、考えまとまらん。良い読書だった。2015/10/24

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