内容説明
『新約聖書』の中で、イエスはさまざまな「たとえ」を通して、人々に働きかける。しかし、なぜ「たとえ」を使うのか?それらの「たとえ」にはどのようなメッセージが込められているのか?「隣人愛」や「善行」、そして「人間の平等」などの問題について、「福音書書記者」たちの立場や思惑も考えあわせながら、史的イエスの真意をさぐり、『聖書』の複雑で豊かな世界を案内する。
目次
第1章 イエスの立場、福音書の立場
第2章 「隠喩」と「たとえ話」
第3章 神への愛と隣人愛―「サマリア人」のたとえ話
第4章 救われる人間とは―「放蕩息子」のたとえ話
第5章 律法と現実―「宴会への招待」のたとえ話
第6章 「たとえ話」の秘密―「種まき」のたとえ話
著者等紹介
加藤隆[カトウタカシ]
1957年生まれ。ストラスブール大学プロテスタント神学部博士課程修了。神学博士。千葉大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
67
聖書にはパラボレーと呼ばれる時間の経過と異常要素を含む43のたとえ話が入っているとのこと。それらは有名なたとえ話ですが、全て共観福音書にのみ記載され、『ヨハネによる福音書』には入っていません。そんなたとえ話に焦点を当て、解き明かしています。何故主な語り手はイエスなのか、同じ内容でも福音書により異なる理由とはなど、各福音書の立場から論じているのが興味深いところでした。かなり細かく分析しているので、新約聖書をある程度読み込んでいる人でないと難解かもしれません。どちらかというと上級向けといったところです。2016/08/29
B.J.
5
●四十三あるイエスのたとえ話。 ●マルタとマリアのエピソード :「救われたい」という自己愛 ●ルカによる福音書「放蕩息子のたとえ」 この「罪」とは、常識的には、財産を無駄遣いしたことだと考えてしまう。究極的には、「父と離れたこと」「失われた者となったこと」が「罪」だとされていることになる。 ・・・本文より 2020/02/20
Go Extreme
1
たとえ話の背後に隠された深い意味や別のイメージ 神の国の秘密が与えられている弟子たち 見ても分からず聞いても理解できない外の者たち マルコ福音書の聖霊主義的立場 マルタとマリア 社会から排除された者を人間として見る視点 失われた羊銀貨息子の三つのたとえ 父の憐れみと息子の罪の状態 安息日に善いことをする対立 席の選び方と律法の高慢さ 不遇な者たちを宴会に招く異常さ 種まき人と四種類の土地の秘密 たとえ話が理解できる・できない者の区別 ヨハネ福音書に見られない独自の表現形式 イエスの権威ある教え方の特徴2025/05/08
脳疣沼
1
聖書読みの上級者向け(?)の本。へーそういうことなのか、と勉強になるけど、ここまで分析せにゃならんのか、とも思う。新約聖書を何度か読んだことのある人で今ひとつ意味が理解できていない人は、読んで得るものがあると思うが、聖書に興味のある初心者(私)が読むと、その分析がちょっとウザったく感じるかもしれない。多分、またいづれ読み返す日が来ると思う。2014/06/01
しんどー
0
★32017/11/09
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- 和書
- 看護のための生命倫理