内容説明
梅、すみれ、あじさい、はぎ、ひがんばな―。日本の花は、可憐で、健気で、わびしげです。西洋の花と比べると、いささか地味ではありますが、四季の風情を感じさせる、しみじみとした美しさを漂わせています。春の花は朝霞がよく似合い、秋の花は夕焼けに映えるのです。本書では、いずれ劣らぬ個性派ぞろいの48の花について、それぞれの生い立ちと物語を紹介。街角や路地裏の花を見て、うっとりした気持ちになれるよう、あなたの心を耕します。あわせて、上手に咲かせるコツも教えます。
目次
プロローグ 花を味わう悦び
第1章 春の花(すみれ類;さくらそう ほか)
第2章 夏の花(あさがお;はなしょうぶ ほか)
第3章 秋の花(ききょう;ふじばかま ほか)
第4章 冬の花(ふくじゅそう;ゆきわりそう ほか)
エピローグ 四季を味わう悦び
著者等紹介
柳宗民[ヤナギムネタミ]
園芸研究家。1927年、民芸運動の創始者・柳宗悦の四男として京都市に生まれる。旧制暁星中学卒業、栃木県農業試験場助手、東京農業大学育種学研究所研究員などを経て独立。柳育種花園を経営するかたわら、執筆やテレビ・ラジオで活躍中。園芸文化協会評議員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
71
柳宗民氏。1927年生まれ。美しい花の数々を紹介。桜、すみれ、ふじ、朝顔、紫陽花、ききょう、萩、彼岸花、福寿草、ろうばい、梅。日本の花は、可憐で健気で寂しげで、四季の風情を感じさせます。しみじみとした美しさを漂わせています。春の花は朝霞がよく似合い、夏の花は鮮やかに、秋の花は夕焼けに映え、冬の花は清楚な芽出たいものです。自然と共存するならば、豊かな心を持ち、おおらかな気持ちでいることが大切です。植物にもそれぞれの生い立ちや物語があり、今があります。それらを知れば、より一層、植物が身近なものになるでしょう。2020/10/07
neimu
54
久しぶりに手に取ると、家庭菜園、庭を手がけるようになって「そうだったのか」と改めて気付かされることが多く書いてあり、何度でも読まないと駄目だなあと実感。実際に土に触って日々苗を見たり花を愛でたり枝を剪定したりと手入れする中で、実地に身についていくものもあるが、あらまほしきは先達で、そういうことだったのか、それを知っていればと思うことは多々ある。この手の本が本の中の知識だけでは無く、自分の日常に深く根を下ろし始めたことを実感する、父の1周忌が過ぎ、彼岸も終わった今日この頃。2021/10/01
Tadashi_N
20
日本は古来から園芸の国だった。2015/06/30
ひめぴょん
16
花を四季別に分類して、イラストと文章で綴っています。植物の生い立ち、物語(植物が分布を拡めた方法についての考察など)、歴史、名前の由来、育て方など花への愛を感じる文章。私自身は洋花よりも日本の花が好きで、特に茶花として使われるような素朴で季節を感じる花が好きなので、この本に取り上げられている花は好きなものが多かったです。学会出張時のお供にご推薦いただいたのですが、他館からの借り受け本なので期限延長不可。タイミング悪く学会前に返却期限が来ます。お供本をまた探さなくては!以下は文中引用とミニ感想です。 日本人2023/05/19
Maiラピ
6
今年二月に造化の妙<さぎそう>の種を蒔きました。夏にちゃんと白い羽を羽ばたかせてくれるといいけどな。実父は柳宗悦、長男柳宗理、次男に美術史家・柳宗玄そして四男のこの著者宗民・・・三年前に亡くなった。日本語が優しく美しい文章です、至る所に著者の植物への愛情を感じます。亡くなる直前のエピローグ・・・お勧めの本です。2009/02/28