内容説明
ニューヨーク同時多発テロ以後の一連の事件は、現代を生きる私たちにとって、実存にかかわる痛切な問題といえる。これと連関するかのように、二〇〇一年前後の大学入試論文問題は、西欧とアジア、南北の格差、グローバリズム、文化相対主義といったテーマをめぐって出題されてきた。ここに、日本の戦後責任を問い、歴史における主体性を問うといったテーマが加わり、あたかも現代思想のミニ舞台の観を呈している。このような状況を踏まえ、倫理とは何かを問いかけながら、論理力と思考力、そして書く力をいかにして身につけるかの指針を示す。受験生、大学生、社会人のための論文入門。
目次
第1章 アジアとは何か―世界地図の一部「『アジア』とは、どの範囲か」
第2章 イエスと準イエス―埴谷雄高『隠された無限』
第3章 倫理の開始点―小林秀雄『本居宣長』
第4章 人間の残忍性―ニーチェ『善悪の彼岸』
第5章 二元論をどう超えるか―加藤典洋『敗戦後論』
第6章 精神の原型へ―吉本隆明『アフリカ的段階について』
著者等紹介
神山睦美[カミヤマムツミ]
1947年岩手県生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大学卒業後、個人塾を開き、後、桐生外語学院、東進ハイスクール、河合塾文理など予備校の教壇に立つ。文芸評論家
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