内容説明
イラク戦争以後、アメリカの一国決定主義がますます突出し、世界は「分裂と不安定の時代」に入っている。一方、経済状況をみると、当分の間、世界同時デフレから抜け出せそうにない。それに苛立つかのように、日本国内ではバブル待望論が絶えないが、アメリカの景気頼みの日本経済回復シナリオは非常に危うい。むしろ地方へとデフレが波及し、さらに深刻化していくおそれがある。もはや古い時代の発想は通用しない。思考および政策の大転換が必要だ。日本経済の位相を確かな目でとらえる、『セーフティーネットの政治経済学』『長期停滞』に続く、三部作の完結篇。
目次
序章 分裂の時代へ
第1章 バブルをつなぐ経済
第2章 「グローバルスタンダード」がもたらすデフレ圧力―市場と制度のフィードバック関係
第3章 不良債権と企業再生
第4章 財政崩壊と増税の悪循環
第5章 日本型インナーシティ問題と地方分権
終章 反デフレ・反バブルの政策へ
著者等紹介
金子勝[カネコマサル]
1952年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授などを経て、現在、慶応義塾大学経済学部教授。専門は財政学、制度の経済学。豊かな歴史感覚のもと、現実から乖離した経済学の現状を批判し、様々なメディアで説得力ある分析・提言を行っている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
114
金子さんの論評は小気味よくて私の好みに合います。この本では、小泉政権とその経済政策、とくに竹中大臣が行っていたことについてかなり歯に衣をきせないようなやり方でコテンパンにやっつけてくれています。私は金子さんとは若干考え方が異なっているのですがこれくらいに論破していると小気味いいですね。と思いつつ最近のアベノミクス(どのような政策なのかいまだもってわからないのですが)についてはあまり、金子さんの批評は聞かないのですが。どこかで書かれていることを知っている方は教えてください。2016/07/18