内容説明
ハリウッドの映画産業が巨大化し始めたのは、八〇年代半ば以降のことである。その後もCGなどの先端技術を貪欲に吸収し、ますます大きな影響力を扱ぼしつつある。その背景には、ハリウッドの自然環境やユニークな制作の仕組み、スター・システムだけにとどまらず、巨額の資金を調達する方法や広告・宣伝の仕方、新たな権利ビジネスの展開など、次々に開発される独創的なビジネス・モデルがあった。膨大なコンテンツによって資産価値を高めつつあるハリウッドの過去・現在・未来を探り、夢工房の舞台裏を解き明かす。
目次
第1章 アカデミー賞の授賞式
第2章 イメージのなかのハリウッド
第3章 制作システムの昔と今
第4章 夢とイデオロギーを売る
第5章 パリとワシントンの対決
第6章 ビジネスの利益構造
第7章 映画史にのこる名場面
第8章 全世界メディアの支配
著者等紹介
赤木昭夫[アカギアキオ]
1932年生まれ。東京大学文学部卒業。NHK解説委員、慶応大学環境情報学部教授、放送大学教授を経て、現在は放送大学客員教授。専攻は科学史、技術論、メディア論
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
18
ハリウッドにおける人種差別、イメージ作り、商業主義、制作システムの舞台裏といった事項が批判的に書かれている。特にその市場独占を狙うしたたかさには驚愕させられる。テレビ、ビデオ、DVD、インターネットの普及により揺らぐ映画産業ではあるものの、映像表現という手段自体はスクリーンを見ることがなくなっても本質は変わらず続くだろうと感じた。2013/01/17
nagata
7
ふと気づいたらまた手にしていた。新しく手に入れた映像という表現技術。しかしその手法そのものに高尚な文化性、芸術性があるわけではなし。実際1920年代ハリウッドをめぐるスキャンダルから映画を守るためにできたアカデミー賞が、権威化され、アメリカの州1つの2%程度を左右する経済力を持つに至るのに大きく力を及ぼしている。その実はコンシューマリズムにあると看破している通り。2024/08/04
ユウユウ
4
それがハリウッド2025/04/20
nagata
1
データは10年以上前のものだが、今でも決して古くは見えないのは、切り口が鋭いから。アメリカが牛耳るコンテンツ産業とグローバリゼーションとの親密なつながりが伝わってくる。それは決して映画産業などのエンタメだけではないだろう。また、いわゆるビジネスモデルの決定的な違いについても改めて強い示唆を受けた。アソシエーションとワークショップのつながりがあらゆる分野を通じてアメリカを動かしているというのは、「縦割り」に代表される硬直的な完了的組織とは全く異なる。2022/01/16
バッシー
1
ハリウッドの産業構造がよくわかる。しかし古い。アップデートが望まれる。2019/07/15