ちくま新書<br> BC級戦犯

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ちくま新書
BC級戦犯

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  • サイズ 新書判/ページ数 220p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480059574
  • NDC分類 329.67
  • Cコード C0221

内容説明

BC級戦犯に関わる裁判は六年近く続いた。それは死刑九二〇人、有期刑三四〇〇人という苛酷な判決を生んだ上に、獄中でも多くの人が命を落とした。そこでは、戦犯を国内刑法で裁いたり、通訳の不在や被告人陳述の無視など、戦勝国の報復感情を満たすためだけの場合もしばしば見られた。四つの戦域の複合体として戦われた太平洋戦争をあらためて検証し、「勝者の裁き」の真実に迫る。

目次

第1部 太平洋戦争を問いなおす(BC級戦犯はどう裁かれたか;戦争の構造を考える)
第2部 BC級裁判とは何だったのか(戦闘停止から収容所へ;帰還(復員)という大移動
逮捕される戦犯容疑者
収容所生活の実態
勝者の「正義」と敗者の「悪」
犯罪を決めた戦域の事情
気まぐれな判決
最後の釈放)

著者等紹介

田中宏巳[タナカヒロミ]
1943年3月、長野県松本市生まれ。1974年、早稲田大学大学院博士課程修了。東海大学、明治大学講師等を経て、現在防衛大学校教授。専攻は日本近代の軍事史、とくに旧陸海軍の戦史編纂の経緯、旧陸海軍史料の性格と行方を主要な研究テーマとしている。98年、オーストラリア戦争記念館より、同館所蔵の旧日本陸海軍資料の調査に対してフェロー号を授与される
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nnpusnsn1945

42
図書館にて読了。表題のBC級戦犯のみならず、太平洋戦争の戦闘史や『大東亜共栄圏』の軍政、戦後の連合国による日本兵の収容についても述べられている。戦闘面では駆逐艦、航空隊の活躍が書かれており、軍事マニアにもお勧めできる。方面によって戦場の実相はそれぞれ違っている。ちなみに、満州や中国大陸にも多く割かれている。なお、ラバウルなど自活できた地域によっては醤油や味噌も作れたようた。しかし玉砕を美徳とする軍人にとってはあまり語りたくないらしい。2022/07/30

樋口佳之

14
イスラム教徒が圧倒的に多い蘭印では、日本憲兵の現地の慣習を無視した行為が終戦後、BC級の起訴事由になった。イスラムでは左手は不浄とされ、左手で物を与えたり、人前で人を叩くことは厳禁されているが、憲兵は遠慮会釈なく左手でも現地人をなぐって恨みを買った。/鉄拳を教育・躾の一手段と考える伝統があるが、そう思い込んでいるのは日本人だけで、外国には人間に対する冒瀆、存在否定という意味さえある。またイスラムでは裸は厳禁だが、日本兵は越中褌で歩くのが習慣であった。/こうしたイスラムの掟を踏みにじった行為が住民虐待として2017/03/01

かに

5
日本が戦った太平洋戦争は、満州・中国・西太平洋・南方資源地帯戦域と4つの戦域で戦い、相手・その土地の国民・戦いの様子などの違いから戦犯として起訴される内容も様々であった。という新しい視点から太平洋戦争を見ることができて面白い本だった。ゲリラ軍と戦うために内通者を探す過程での行為が戦犯に問われたり、日本軍の現地調達という手段により、その土地にすむ人々が憎悪の感情が生まれ、それが戦争犯罪に繋がったりもした。そのため、食糧の豊富な恵まれた土地ではそうしたことが起きず、国民の協力姿勢も違いがある。2023/07/21

Toska

5
戦闘史をツギハギした戦争史からの脱却を志し、そのためBC級戦犯裁判を視点の基準に据える非常に興味深い試み。ただ、この構想に新書サイズではちょっと尺が足りなかったか。連合軍の戦犯裁判は無茶苦茶だが、それ以前に日本のやったことが酷すぎたため、結局どこかでオトシマエをつける必要があったという身も蓋もない結論は、実際に戦犯として裁かれた飯田進の感懐に一致している。最も多くの死刑判決を出したのがオランダで、最もまともな裁判をやったのは共産中国とのこと。2022/06/07

おらひらお

4
2002年初版。安定した筆致で読みやすい一冊です。BC級戦犯の取り扱いも地域や管理する国によって待遇が全く異なっていることが指摘されています。A級戦犯は一部英雄視される人々もいましたが、BC級戦犯は釈放後、堅く口を閉ざして人生を終えていった人が多かったようです。あと、戦争に行った者の中から、彼らがみんなの代わりに戦犯になり、その罪を一身に背負ったと考える日本人が少なかったとの指摘もあります。一読すべき一冊ですね。2013/06/25

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