内容説明
人間は失敗する生きものである。とはいえ、各人が、組織の目標やプライオリティを見失わずに責務にあたっていれば、組織はそれほど大きな失敗を犯さずにすむはずだ。しかし近年、日本の官僚組織は、重大な局面において失敗を繰り返してきた。官僚機構が恒常的に犯す過ちはどのようなパターンになっているのか。なぜそうした過ちが繰り返されるのか。阪神淡路大震災や東海村核臨界事故時のものからODAまでの、政策決定・実施の過程を、危機時、非常時、常時に分類し、詳細に追求していく。
目次
第1章 危機時の決定と実施(えひめ丸事件;阪神淡路大震災;東海村核関連事故)
第2章 非常時の決定と実施(対トルコ仮設住宅の緊急援助)
第3章 常時の決定と実施(住宅建設・販売の各種規制;ODAのシステムと情報)
著者等紹介
草野厚[クサノアツシ]
1947年生まれ。慶応義塾大学法学部を経て、1982年、東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。その後、国際大学講師、東京工業大学助教授を経て、現在、慶応義塾大学総合政策学部教授。専攻は国際関係論
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感想・レビュー
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ペールエール
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官僚組織を構成する人に着目したもならない。 杓子定規しか取扱いが出来ないのはそう縛りのある制度があるため。 ゆえにこういう議論は制度論にいきつくのである、と思います 2014/02/05
taming_sfc
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草野厚先生による2001年の著作。東大出版会の政策過程論の、いわば具体的な草野先生によるケーススタディを集めたものと考えてよい。日本政治、ODAなど草野先生の得意分野において、とくに官僚制度が麻痺した事例を政策過程論で追う。大変興味深く、一気に読めた。最後の謝辞に、同期の学生の名前が書いてある、という個人的楽しみもあり、よい。日本政治の政策過程論分析に興味のある方必携の一冊。2011/02/10