内容説明
「陰陽師」安倍晴明にはいくつもの顔がある。「宮廷に仕える高級官僚」「超能力者」「中性的な魅力を持つ美青年」…。だがそのいずれも真の晴明像を正確に伝えてはいない。天皇の運命まで左右した数々のエピソードを持つ「高級官僚」としての晴明像と、「狐から生まれた子」という超人伝説は、どのように結びついていくのか。晴明を祖とあおぐ二つの系統の陰陽師たちがつくりあげた虚像の形成過程を丹念に読み解いていくと、新しい「もうひとつの晴明伝説」が浮かび上がってくる。
目次
第1章 安倍晴明―その実像
第2章 陰陽師とはなにか
第3章 伝説上の安倍晴明
第4章 式神伝説
第5章 晴明伝説の形成
第6章 民間陰陽師たちの流れ
第7章 もう一つの晴明伝説―民間陰陽師系
第8章 民間陰陽師系晴明伝説の成立
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミエル
25
内山節「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」からの読書。ちょうど晴明ブームのころに上梓された作品とのこと、当時他とは一線を画しオカルトではなく学術的アプローチから超人晴明を真面目に考察しているのでお堅め。でもそのお堅さが新鮮、生い立ち、伝説的エピソードの言質を取りまとめた序盤からの考察が突飛過ぎず良識的。異類婚姻譚、賎民、陰陽師に所縁ある背景がダークヒーロー像を作り上げた説に納得。ただの公務員なのに… いつのまにやらオカルトマスターになっていたカラクリ、ホントはこんなものかも。2019/11/26
岡本匠
12
安倍晴明について史実から書きおこし、伝説上の彼の姿がどの様に形成されてきたのか、その背景について書かれた本。2018/01/28
カゲツナ
4
晴明、茨城県生誕説には驚きましたね。いろんな伝承があるんですよね。晴明伝説は全国にあるからね。真実はわかりませんが。2014/04/27
霹靂火 雷公
1
これまで、安倍晴明の「虚像」と「実像」についての著作は幾つか見てきたが、本書は「実像から虚像への成立過程」に着目している。民俗学好きにも充分楽しめる良著。2015/11/05
ma_ko
1
安倍晴明について調べるために図書館で借りた本。晴明よりも式神や伝説がつくられた背景の分析が多かったので、ちょっと残念。でもさらっと読めたし、それはそれで面白かった。2015/06/03