内容説明
皇帝ロマノフ二世とその家族が西シベリア・エカテリンブルグで革命派によって銃殺されたニュースは当時世界を震撼させるものだった。だがこの事件は、近年その遺骸が発掘されるまで、その後七十年もの間なぜか歴史の闇の中に置き去りにされたままにあった。ソ連邦時代を通じて政府当局者さえその所在を知り得なかった事実は一体何を物語っているのだろうか。皇帝一家の遺骸発掘を契機に次々と明らかにされる記録や報道をもとに、隣国ロシアの知られざる歴史の暗部に光をあてる著者会心の力作。
目次
第1章 皇帝一家殺害の謎を解く
第2章 聖なるロシアのツァーリ
第3章 不吉な道連れ―ラスプーチン
第4章 革命の嵐の中で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
30
2013.01.26(初読、初著者)植田樹著。 2013.01.24 (カバー1) 死にゆくロシア帝国。 (カバー2) 皇帝とその家族、西シベリア、エカテリンブルグで革命派により銃殺のニュース、世界を震撼させる。 近年、その遺骸が発掘されるまで、その後70年もの間、歴史の闇に葬られ、置き去りにされたソ連邦時代通じ、政府当局者もその存在を知りえなかった事実は、何を物語っているのか。 皇帝一家の遺骸発掘契機に明らかになる記録、と報道。 ロシア歴史の暗部。 2013/01/26
キャプテン
25
★★★★★_「シャドウ・オブ・エンパイア・フェア」第一弾。帝国の歴史が好き。途方もない大きさで、途轍もない強さで、他を圧倒する存在。そんな巨大な存在を体感できるなんて、ほんとに本は素晴らしい。フェアの名前は子供のころ好きだったゲームから。はじめに、ロシア帝国。革命の果てに殺された皇帝の遺体さがしからはじまる本書の引き付け力が半端ない。この章は絶対誰でも面白いし、きっと語りたくなる。ロシア帝国からソ連へと移り変わるその中で、ニコライ2世が守りたかったもの、守れなかったものを知ることができる。ロシア行きたい。2020/07/07
崩紫サロメ
17
再読。1998年だから皇帝一家列聖前の出版になるか。時事ネタとして、1991年に発見された皇帝一家の遺体のDNA鑑定や偽アナスタシア事件の顛末なども。ニコライ2世の生涯をたどるものだが、ラスプーチンに対する俗説を排除して、慎重に記述しているところに好感。ラスプーチンに多大な信頼を寄せたアレクサンドラ皇后、女官アンナの孤立状態などを描いているのもよかった。ただ、信仰を拠り所とする皇帝夫妻のあり方を「危うさ」のように描くのは、違和感があるがするが、著者が異教徒であるから仕方がないのか。2020/10/29
KiKi
6
個人的にはニコライ二世もアレクサンドル皇后もあの大国ロシアの絶対統治者としての器ではない人物(よき家庭人という感じ?)だったと感じられました。 いずれにしろ、一家の死の後にあの「得体の知れない、秘密主義の、謎のヴェールに包まれたソ連」ができあがったことはまぎれもない事実で、その原点がこの一家の惨殺事件にあったようにも感じられました。2012/06/05
Mana
5
映画「マチルダ 禁断の恋」の予習②。マチルダのエピソードは一行だけ。ニコライ二世の人柄がよく分かる。ところどころ人名表記に違和感があったり、情報が古いかなと思うところも有り。2018/12/15
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- ゆうゆう2021年11月号