内容説明
「高齢者ケア」、「ターミナルケア」、「心のケア」など、ケアという言葉を耳にしない日はない。しかし、そもそもケアとは人間にとっていかなる意味をもつものなのだろうか?本書は「ケアする動物としての人間」という視点から出発し、高齢化社会におけるケアをめぐる具体的な問題を論じながら、ケアのもつ深い意味へと接近していく。現代という時代に関心をもつすべての人に贈る一冊。
目次
プロローグ ケアとは何だろうか
第1章 ケアする動物としての人間
第2章 死は医療のものか
第3章 高齢化社会とケア
第4章 ケアの市場化
第5章 ケアの科学とは
第6章 「深層の時間」とケア
エピローグ 生者の時間と死者の時間
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
22
ケアの意味は日本では非常に狭く、医療的な範囲においてしかほとんど捉えられていないが、心理や生き方の領域においてにまで補助する、助けることがケアであり、今後高齢化が進行する日本においては、本来の意味においてのケアが理解され実行されることが望まれると著者は主張する。しかし、死生観や近代科学に対しての考え、捉え方が日本と西欧とでは微妙に異なるため科学哲学から著者の考えを述べていく。2018/04/26
Ishida Satoshi
0
読了。福祉政策を研究している著者による、やや哲学的な考察。ケアをテーマに、その内容も理解しやすく、ケアという言葉が「お肌のケア」、「ターミナルケア」にいたるまで、非常に広範な意味を持つ言葉であることを改めて考えさせてくれます。広井氏は「人間とはケアする動物である」と説き、それは自分以外の誰かに向けられるものとして、高齢者介護、医療といった専門家が介入するものから、家族や親しい人たちによるものまで、様々な次元で話題提供がなされています。後半は、とくに「ケアの哲学書」とも思われ、時間論、死生観とケアとの関係を
denken
0
「ケア」は案外面白い言葉だな。2012/04/17