内容説明
これが野坂少年の見た戦争の姿だ。空襲で家族を失い、生き残った幼い妹も餓死してしまう(この原体験は小説「火垂るの墓」になった)。戦争の記憶は、全共闘支持表明、参議院選立候補へと発展していく。それは、日本という国を再び戦火にまみえさせてはならない、という必死の行動だ。第2巻では、今こそふり返るべき野坂の政治的実践を凝縮した。
目次
1 焼跡からの出発
2 政治への転回
3 “破滅芸人”奮戦す
4 生のリアルを凝視する
5 政治の言葉、言葉の政治
6 再び焼跡から
著者等紹介
野坂昭如[ノサカアキユキ]
1930年神奈川県鎌倉市生まれ。45年空襲で養父を失い上京。少年院にいるところを実父に引き取られる。50年早稲田大学文学部仏文科に入学し、7年間在学。63年『エロ事師たち』発表。67年『火垂るの墓』『アメリカひじき』で直木賞受賞。焼跡闇市派といわれる。72年「面白半分」編集長として「四畳半襖の下張」裁判で有罪判決。2002年『文壇』およびこれまでの文業で泉鏡花賞受賞
大庭萱朗[オオバカヤアキ]
1962年北海道生まれ。出版社勤務を経て、文芸評論家・フリー編集者として活躍中
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感想・レビュー
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がらくたどん
35
「防衛」や「反戦」というある意味積極的で目的追及型の指向性の中には「こちらに理があれば」と目的のために命を懸ける戦いに反転する積極性と生真面目さが内包されていそうで怖いなとふと思う。野坂に「反戦対厭戦の思想」なる文章があった事を思い出した。野坂の政治・社会的発言に自分は共感しきれぬ部分が多いのだがこの一文だけは印象深い。反戦は他者に向けた行為であり目的を持つが厭戦は極めて個人的な心情なので圧力は弱いが誰にも押しつぶせないから、反戦と同時に厭戦の思想を広めたいという趣旨。また兵役とか言われる前にね~。 2022/04/29
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- 和書
- 有部阿毘達磨論の研究