内容説明
志ん生師匠との呑兵衛対談「深夜の初会」をはじめ、戦前の海軍機関学校や法政大学教官時代の回想、敬愛する師漱石の思い出、深遠なる金銭哲学や貧乏ばなし、はては酔いにまかせての悪態ぶりにいたるまで、百〓(けん)先生面目躍如の自由気侭な痛快座談集。おもな座談客は、安倍能成、井伏鱒二、河盛好蔵、久米正雄、小宮豊隆、獅子文六、高橋義孝、辰野隆、徳川夢声、豊島与志雄、宮城道雄、吉田茂、和辻哲郎などの面々。
目次
あの頃の機関学校
豚小屋の法政大学
貧乏ばなし
ユウモアコンクール
対談
酒仙放談
金の借り方作り方
逢坂〓(かん)談
薬剤金融椿論
漱石をめぐって
問答有用
汽車の旅
倫敦塔を撫でる
西小磯雨話
深夜の初会
虎の髭
漱石先生四方山話
著者等紹介
内田百〓[ウチダヒャッケン]
1889‐1971。小説家、随筆家。岡山市の造り酒屋の一人息子として生れる。東大独文科在学中に夏目漱石門下となる。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などでドイツ語を教えた。1967年、芸術院会員推薦を辞退。酒、琴、汽車、猫などを愛した。本名、内田栄造。別号、百鬼園(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いきもの
4
対談集。しかし酒が入っている。吉田茂の前でも酒を飲む。ただ、漱石門下の先輩の前では少しおとなしい。2021/05/15
うた
4
百閒先生の対談集。井伏鱒二を交えた対談が笑える。雷と空襲と比べているところも面白いが、エロ話。「エロというものは隠すことだ、というこを知らないからいかん。いちばん大事なことを抜かしている。出してしまっちゃ色気はない。めくるんだね」。そこらの書き手なら”色気はない”で止めるところを、最後の一言を付け足しているところがなんとも先生らしい(笑)。2013/12/01
サヒーム
1
百ケンに酒を飲ませて対談させるてんだから、まぁ初めからスリルがありますよ。とくに落語家志ん生、吉田茂の時は酔いがひどくてヒヤヒヤした。 「志ん生さん、握手しよう。クソじじい、よかったね。」 脈絡なくこの発言である。ヤバみしかない。さすが百鬼園先生です。
qoop
1
初めて読んだ百鬼園先生の対談集。時期の古い順に並んでいるのだが、新しくなるにつれて酩酊度合いが進んでいく印象。特に志ん生師との対談(こんなのあったのね!)は良い意味でヒドイw お互い好き勝手に喋り散らしてるのに、いつの間にか意気投合して盛り上がるパターン。吉田茂、徳川夢声両氏との鼎談も読んでいてハラハラする盛り上がり。2011/09/15
yunomi
0
文学誌に載ってる対談って、もう自分達の世界だけで通用する様なタームがやりとりされるだけの予定調和がほとんどなんだけど、さすが百間先生、話がどこに飛ぶか分からない、この雑談力は凄い。例えば、「漱石をめぐって 」という対談では、他の出席者が自分なりの漱石論を開陳するところから始まるのに、途中で百間が口を開いた途端、漱石をめぐる思い出話にどんどんなだれ込んでいく。で、そちらの方が断然読んでいて面白いのだ。2012/01/04