内容説明
シリアル・キラーの跡を追って、世界の殺人現場を歩き、猟奇文献を読み漁り、彼らの殺人衝動に想像をめぐらす。死体を切り裂き、人皮製の装飾品や頭蓋骨製スープ椀を作っていたエド・ゲイン、父親と継母を斧でめった打ちにしたリジー・ボーデン、22人を超える少年をレイプしてから絞め殺し、その肉を喰らい、さらに闇市で売りさばいてもいたフリッツ・ハールマン…。彼らの狂気に戦慄せよ。
目次
第1章 巡礼の旅(エド・ゲインのハート;リジー・ボーデン斧とって;紳士はロリータがお好き ほか)
第2章 殺人を読む(アメリカン・ドリーム―『サンドマン/ドールズ・ハウス』;殺人者はわれわれの中にいる;三本の「ロープ」―トム・ケイリン・インタビュー ほか)
第3章 おかしな世界(OJ裁判のこりない人々;アメリカの喜劇;アメリカのトークショーは命がけ ほか)
著者等紹介
柳下毅一郎[ヤナシタキイチロウ]
1963年生まれ。東京大学工学部卒業。英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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魚京童!
14
人を殺す。庭に飾る。誰も見ない。誰かが見ている。ヒトがヒトを殺すときに、何を思うのだろうか。ヒトと思っているのだろうか。思わないから殺人なのだろうか。同じヒトではない。だから殺人なのだろうか。倫理観はどこから生まれてくるのだろうか。社会が狂っていたら、あるいは生物学的に種の存続を図る。やむを得ない状況であれば赦されるのだろうか。許されればよいのだろうか。号令がかかったから、「突撃!」2024/06/11
しんこい
9
殺人マニアといっても自分が殺す訳でなく、殺人事件や殺人者に関心があるの人ですが、切り裂きジャック位ならともかくエド・ゲインの住んでいた家を見に行くのはやっぱりマニアで、残念ながら何もないのか。サドの殺人者が自分が逮捕された後の妻の暮らしを心配したり、人間が一番の謎ですね。2015/11/23
wasabi
7
柳下さんが『フロム・ヘル』を訳したルーツはこの辺りにあったんだなと納得。というわけでアラン・ムーア大先生の素晴らしいお言葉を引用させていただく「殺人は時間と空間の双方に位置する人間的出来事だが、その両者いずれにも制限を受けない想像界にも属している。意味をもち、かたちをもつ。だが解答はない」。あとがきがまた良い「どうしても理屈に収まらない細部こそが本当はもっとも興味深いのだ」2013/03/25
白黒豆黄昏ぞんび
5
殺人鬼の心の中を知りたいってのは同感です。んー、まあ、たまたま好きになったのが殺人だったと言えなくもないけれど。柳下さんの愛を感じるわー。2012/03/22
くさてる
4
本棚より再読。猟奇殺人犯の名所や犯罪博物館をたどる道のりは、いっけん、悪趣味なものかもしれない。けれど、その文章には、根本に人間存在への純粋な好奇心と探求心が伺われて、偽悪的なノリの時でも、読後感が悪くない。殺人が、「人間心理の究極のミステリ」という表現には頷かされる。2012/04/10