内容説明
元気はつらつとした知性をもつエリザベス・ベネットは、大地主で美男子で頭脳抜群のダーシーと知り合うが、その高慢な態度に反感を抱き、やがて美貌の将校ウィッカムに惹かれ、ダーシーへの中傷を信じてしまう。ところが…。ベネット夫人やコリンズ牧師など永遠の喜劇的人物も登場して読者を大いに笑わせ、スリリングな展開で深い感動をよぶ英国恋愛小説の名作。オースティン文学の魅力を満喫できる明快な新訳でおくる。
著者等紹介
オースティン,ジェイン[オースティン,ジェイン][Austen,Jane]
1775‐1817。イギリスの小説家。おもに結婚話を題材とした、平凡な日常生活のドラマを皮肉とユーモアをもって描き、完璧な芸術へ高めたと言われる
中野康司[ナカノコウジ]
1946年神奈川県生まれ。青山学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
353
タイトルは以前から知っていたが、道徳的で退屈な小説に違いないとの"偏見"を抱いていた。いざ読んでみると(まだ下巻を残すが)、これが実に魅力的な小説だ。モームが「世界の十大小説」に選ぶのも当然だろう。18世紀末から19世紀の初頭に生きた女性作家ジェインが実際に見聞きできた範囲はごく限られていただろう。しかし彼女の想像力は小説の中に確固たる、しかもどうにもしようのない階級社会を描き出した。長女のジェインは『三四郎』の美禰子を思わせるし、姉妹の構図は『細雪』を思わせもする。篇中で、最も魅力的なのはエリザベスだ。2015/07/18
紅はこべ
145
どんなに再読しても飽きないのがオースティン。トランプ当選の報を聞いた時、思い出したのが、シャーロットとコリンズの婚約を聞いてのベネット氏の感想。「シャーロット・ルーカスは頭のいい娘だと思っていたが、うちの奥さんと同じくらい馬鹿で、うちの馬鹿娘のリディアよりもっと馬鹿だとわかって楽しかった」私も今年は英米両国民が意外と馬鹿だとわかって楽しかった。2016/11/12
アン
124
イギリスのロングボーンの地主であるベネット家を中心に繰り広げられる結婚事情。5人の娘の結婚に躍起になるベネット夫人と娘の個性豊かな姉妹たち。慎み深く心優しい長女ジェインと主人公の勝気で観察力の鋭いエリザベス、この2人に纏わる恋愛模様が陽気に、辛らつなユーモアと家族の愛情と共に描かれています。大富豪で頭脳明晰、高慢なダーシー氏や明朗で素直なビングリー氏、牧師のコリンズなど男性陣の性格もそれぞれ。脇役も賑やかで、会話が聞こえてくるようです。幸せな結婚とは…?下巻へ。 2020/04/22
はたっぴ
102
ベネット家の5人姉妹の物語。姉妹の中でも目を引く賢さと明るさでストーリーを盛り立てるのが主人公のエリザベスだ。単純な恋愛物と勘違いしてなかなか手を出さなかったことを後悔する面白さ。会話仕立ての進行により彼女の思考回路が手に取るようにわかり、この一筋縄でいかない女性がどのような結末を迎えるのか楽しみで仕方ない。個性溢れる登場人物の面々も脇役とは思えない自由奔放さ。身分の違いに鬱々とせず、明朗快活に振る舞うエリザベスは幸せになれるだろうか?急ぎ下巻へ【G1000】2017/10/20
ビブリッサ
95
再読。もし未読なら「読まずに死んだらもったいない」とお薦め必至の書。イギリスの田舎、ジェントリ社会の超メンドクサイ人達のイライラしながらも面白くて、笑いながらも「お前のことだよ!」とページの中から突っ込まれているみたいな感覚を覚える。初読は学生の頃。あほらしいプライドが剣のある言葉になり恋も儘ならないダーシー卿と、自分をお利口さんだと思っているため直ぐに人にレッテルを貼り真実が見えないエリザベス。登場人物たちは幸せになれるの??この場面で一番ウィットに富んだ会話はコレだ!の応酬に、オシャレ心も刺激される。2016/08/23