内容説明
絶世の美貌の奴隷娘(じつはフランクの王女)は、美しい若者アリが酔いつぶれて寝込むと二本の編針を取り出し、帯を一本仕上げ、枕の下に忍ばせた。やがて乙女は衣裳をぬいで一糸まとわぬ裸になるとアリの横に添い寝した…数奇な恋の行方を描く「アリと帯作りのミリアム姫」、“愛する乙女をかきいだき互いに交合すその喜悦!…”妖艶な人妻と商人の愛の深い歓びを物語る、性愛美の極致を詩化した「マスルールとザイン・アル・マワシフ」などを収録。
著者等紹介
バートン,リチャード・F.[バートン,リチャードF.][Burton,Richard Francis]
1821‐1890。イギリス生まれ。ヨーロッパ各地を放浪して育つ。大学中退後、軍に志願してインドに渡り、近東の諸言語・習俗を調べた後メッカ巡礼を果たす。ナイル川水源への探検、中央アフリカでの探検をはじめ、西アフリカ、ブラジル、シリアにまで足をのばした。奔放不羈、政府や上流階級と相容れず、晩年は辺境の領事として転々とし、生涯を終えた
大場正史[オオバマサフミ]
1914‐1969年。佐賀県生まれ。本邦初の『バートン版千夜一夜物語』の完訳を遂げたほか、外国文学、性風俗をめぐる、多数の著書・訳書を遺した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
37
他の巻と比較すると詩歌が多いような印象を受けました。数奇な恋、妖艶な人妻との愛など性愛美も極地化していますが、芸術的で美しさすら感じます。2024/02/02
圓(まどか)🐦@多忙のためほぼ休止中
6
「マルスールとザイン・アル・マワシフ」「アリ・ヌル・アル・ディンと帯作りのミリアム姫」「上エジプトの男とフランク人の妻」「上エジプトの男とフランク人の妻」「インドのジャリアッド王と宰相シマス」。千夜一夜物語だからというのが頭にあるからある程度割り切って読めるけれど、マルスール~とかミリアム姫は単体の話だったら怒り狂ってたかも。何の落ち度もない旦那さんが不憫だし、やりたい放題のチート姫も今の話でこんな設定の人がいたら袋叩きだろうし。宰相シマスの話とか合わせると女性観も幅広くてそこが面白いのかな。 2015/05/18
ぷるぷる
5
10巻目は詩歌が多い。愛を唄うものと神を称えるものが中心ですが日本語では難しい。ただ読んでる方も慣れているので微笑ましく読めます。最後の「インドのジャリアッド王と宰相シマス」は宗教学的ですが逸話を連ねて話を進める構成が面白いです。「知識は学問から、思慮は経験から、機知は反省から生まれ、すべて理性のうちに結合されます」なんてセリフが格好良い。他宗教への不寛容ぶりと容姿による人間性の判断(特に女性)が現代視点だと鼻につくが、当時の世界観が窺い知れて興味深い。まだまだ世界は邑楽かである。この長大作も後少しです。2020/01/05
のら
4
ジャリアッド王の〜は道徳観や哲学がうかがえ興味深い作品だった。イスラム文化圏にあったインドが舞台らしいが、知性や理性を重んじる内容で異色さが際立つ。父親の仇にあたる人物への復讐が・・ネタバレになるので略・・を用いなかったことが何より驚いた。昔話らしからぬ選択はイスラムの寛容性か(千夜一夜物語的には非寛容で残虐が多い)知的階級の近代性か。10巻まで読んできて、千夜一夜物語の多彩さがあらためて実感された。あと一冊頑張る。2014/11/22
秋良
3
姫がチートすぎていっそ笑えた。2013/03/31