ちくま文庫
妖精物語の国へ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480038302
  • NDC分類 909
  • Cコード C0198

内容説明

妖精物語とはなにか?『指輪物語』の作者トールキンが、妖精物語の起源へ立ち帰り、その魅力と秘密を解き明かすスリリングな批評の旅。その旅の向こうに、やがて浮かび上がる「創造」ということの本当の意味。そして「喜び」。長編エッセイ「妖精物語について」の新訳を中心に、本邦初訳の長詩「神話を創る」と詩劇「ビュルフトエルムの息子ビュルフトノスの帰還」の2編を収める。

目次

1 妖精物語について(妖精物語;起源;子ども;ファンタジー;回復、逃避、慰め;エピローグ)
2 神話を創る
3 ビュルフトエルムの息子ビュルフトノスの帰還(ビュルフトノスの死;ビュルフトエルムの息子ビュルフトノスの帰還;「ビュルフトノス公はまちがっていた」)

著者等紹介

トールキン,J.R.R.[トールキン,J.R.R.][Tolkien,John Ronald Reuel]
1892‐1973。イギリスの作家、学者。オックスフォード大学卒業後第一次大戦に従軍。リーズ大学を経てオックスフォード大学教授。古代、中世英語・英文学の権威として知られ、わが子に語った話をもとに書いた『ホビットの冒険』(’37)で叙事詩ファンタジーというジャンルを創る。『指輪物語』(’54~’55)は世界的ベストセラー

杉山洋子[スギヤマヨウコ]
1930年台北市生まれ。関西学院大学名誉教授。専門分野はイギリス文学:モダニズム、ゴシック小説、ファンタジー、児童文学、フェアリーテール
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あたびー

20
トールキン御大の「おまえら、妖精物語ってのはなぁ…」というお話。子供向けの話なら何でも妖精物語だと思ったら大間違いだぞ!とか、あれも違うこれも違う、などのこだわり満載の評論なのでした。研究者には夫々「妖精ってなんだ?」の一家言やイメージがあるわけで、御大のご意見は御作から読み取れる通り。それはこの前読んでいたアーサー・マッケンのとはちょっと違うみたい。私的にはやっぱり王様や英雄が出てくる話より民衆と妖精の関わりが好きだな。2020/04/07

ワッピー

19
トールキンのファンタジー論の新訳。息子クリストファーによる序文、C・S・ルイスにあてた詩「神話を創る」、侵略者に対抗した王を悼む詩劇「ビュルフトエルムの息子ビュルフトノスの帰還」を収録。妖精物語(fairy―story)定義を試み、除外要素(旅人の話(ほら話)、夢物語(夢オチ)、純粋な動物寓話)を述べ、物語の機能(ファンタジー(非日常性)・回復・逃避・慰め)を挙げるが、「神話を創る」は簡潔でわかりやすい。「ビュルフトエルム~」は王の武勲を頌えつつも無分別を詰るという構造で頌詩にも批判が含まれることを提示。2019/05/25

ふたば

4
なかなか面白かった。想像力と、それを見事に表現することとは別の相だというのは確かに!と納得。「準創造」とは、キリスト者らしい。しかし、トールキンほどの大家が舞台というものをこんなにも誤解しているとは。「演劇に於いては登場人物から背景に至るまで、すべて心に思い描くものではなくて、実際に舞台の上で見えている」と言い、だから舞台はファンタジー、妖精物語に適さないと彼は言うけれど、優れた舞台芸術は、その場にある以上のものを観客と共に創造する、極上のファンタジーだ。きっと面白い芝居を観たことがなかったのだろう。2014/12/06

Shin

3
序文で引用されているトールキンの文章で全治の語り手であるトールキン自身がまるで自分自身も実際に中つ国でホビットたちと旅をしているように語っていた。わたしはトールキンの持っている中つ国つまりは妖精国への距離感みたいなものを感じた。トールキンは物語の展開を事前に全て決めてから執筆するということをしていない。彼は実際に妖精国に足を踏み入れているのだと思う。そして、そこでの住人と旅をしているのではないでしょうか。2016/08/08

in medio tutissimus ibis.

2
『妖精物語は本来、〈願い〉と関わっているのである。現実にアリエルかふぉうかなど関係ない。人の心をどうしようもないほどかきたてて目覚めさせ、満足させることができたら、物語は成功だ』p772016/07/17

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