内容説明
豪華な写真集や分厚い雑誌に出てくるようなインテリアに、いったい僕らのうちの何人が暮らしているのだろう。でも小さい部屋にごちゃごちゃと気持ち良く暮らしている人間ならたくさん知っている。マスコミが垂れ流す美しき日本空間のイメージで、なにも知らない外国人を騙すのはもうやめにしよう。僕らが実際に住み、生活する本当の「トウキョウ・スタイル」はこんなものだ!話題の名著文庫化。
目次
美は乱調にあり
かわいさというたからもの
アトリエに布団を敷いて
安いのは和風
モノにくるまって
子供の王国
住まいの必要十分条件
街のなかに隠れる
著者等紹介
都築響一[ツズキキョウイチ]
1956年、東京生まれ。「POPEYE」「BRUTUS」両誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集「ArT RANDOM」(京都書院)、大竹伸朗作品集「SO」(UCA)など美術、デザイン等の分野で編集・執筆活動を続ける。1993年、東京のなんでもない居住空間を集めた「TOKYO STYLE」を発表。1996年「珍日本紀行」で木村伊兵衛賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山田太郎
59
結婚して子供もいるとモノがためれないし、部屋きれいにしとかないといけないんで、部屋中本とかCDで埋もれてるのみるとうらやましくてしょうがない。2015/02/08
ばう
53
★★★ここに登場する部屋はお洒落なインテリア雑誌とは対極にある部屋ばかり。古くて狭いアパートの中に溢れる雑多なモノの数々にまず圧倒される。最早カオスとしか言えないような部屋、小さいながらもお気に入りのモノに囲まれてなんだか居心地が良さそうな部屋、そして散らかり放題の部屋の中で凛として咲いている一輪挿しの花。正に十人十色、大事なことはどの住人も自分の部屋に満足し、しっかり地に足をつけて生きている感じがするということ。読み応え充分でした。2019/01/28
怜
50
いまのわたし、腑抜けたコピーロボットのよう。置き去りにされた恋をめそめそ思い返したり埒もないことをぐだぐだ考えたり。ここに収められた東京の生活はそんな腑抜けにドロップキックかますくらいの「生きている」が詰まっている。しょーもないこと迷うより、生きなくては。こんなリアルな東京での生活の写真たちがわたしにも力をくれる2015/01/26
akihiko810/アカウント移行中
49
再読。93年出版の「東京暮らしの乱雑部屋」の写真集、の文庫版。印象度B+ 都築響一の猥雑な写真集がふと読みたくなって再読。東京のおんぼろ物件に、趣味のものがごった返した部屋の写真。これぞ趣味人の営み、という感じがして安心できる。「住」を削って趣味に生きてる人々。 私の部屋はマンガ本に溢れてはいるが、本書の部屋ほど、モノには溢れてないので見栄えがしないかも(苦笑) 「断捨離、ファックオフ!」と言いたくなる本2023/10/17
道楽モン
46
バブル経済破綻直後の、東京で賃貸生活を送っている若者たちの部屋を撮影した写真集。出版当初、写真集としては異例の売り上げで、都築響一の名が一躍メジャーとなった。私も含め、周辺もこぞって購入していた。当時のサブカルでは荒木経惟や藤原新也の人気が高かったが、彼らのパーソナルな感情を全面に打ち出したスタイルと対極にある、テーマを絞った無造作なカタログ的切り口が斬新だった。覗き見的な下世話さだけでなく、写真内の情報から住民の生活や思想信条を深読みする楽しみも魅力だ。独自の生活を若者が謳歌していた時代の貴重な記録だ。2025/01/29