内容説明
おれは投手。自慢じゃないけど、たいしたものさ。―そう絶えず語るジャックが、故郷の友人に宛ててユーモアたっぷりに書き送る手紙形式の1910年代野球小説。ホワイトソックス入団から、日本遠征へ旅立つまでを描く。読み進むほどに、うぬぼれ屋でちょっぴりオメデタい主人公の性格が自然に笑いを誘う。主人公の明るい滑稽さを実在の選手や監督を織り混ぜて描く、スポーツ小説の古典的名作。
著者等紹介
ラードナー,リング[ラードナー,リング][Lardner,Ring]
1885‐1933年。小説家。ミシガン州生まれ。1919年まで新聞記者として野球欄を担当。そのかたわら描き上げた本書で一躍評判を獲る。V・ウルフやフィッツジェラルドら同時代作家の高い評価を受け、1920年代を代表する米国作家の一人
加島祥造[カジマショウゾウ]
1923年東京生まれ。詩人・米文学者。信州大学、横浜国立大学などの教授を経て、現在信州伊那谷にて、書画の製作に従事
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感想・レビュー
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Hideto-S@仮想書店 月舟書房
55
20世紀のはじめに活躍した作家で忘れられないのがリング・ラードナ-氏。スポーツジャーナリストの元祖とも言える存在で、本書が処女作です。メジャーリーグに上がったピッチャーが、故郷の友人に宛た手紙形式で綴られる1910年代の野球小説。アメリカでは1916年に出版。うぬぼれ屋でケチで楽天家のピッチャーがホワイトソックスに入団してから、日本遠征チーム(まだ日本には職業野球がない時代)に選ばれるまでをユーモアたっぷりに描いています。世界大戦も金融恐慌もなく、のどかな時代の空気。加島祥造氏の名訳で読みやすい好著です。2015/01/01
AR読書記録
2
この邦題がいいですね。そしてこの人物造形。著者の経歴からしても、実際メジャーリーグには(というかプロの世界全般)個性ある人物はごまんといたんだろうなぁ。でもよくここまで無邪気なウヌボレ野郎像を作り上げたものです。脱帽。身近にいたら困るけど。2012/10/30
azimuth
0
○羨みの裏返しの悪態や空威張りや馬鹿正直さが笑いの要素なのだろうけれど、滑稽よりも悲哀の印象が強い。○書簡体小説の系譜上にある作品。主人公はまるでウェルテル、主観に任せて語りに語り、手紙の宛先アルは一度も顔を出さずこれまたヴィルヘルム並みに聴き手に徹している。○わりと多くの日本人がイメージする「アメリカ」を体現しているような気がする。2011/11/22
shinsei1229
0
饒舌な文体からユーモアが溢れている。監督が主人公の赤ちゃんに会った場面での応酬に大笑いした。2010/12/05