内容説明
ローカル線に乗って、ぶらり一人旅。見知らぬ駅に降り立ち駅前旅館で荷物を解いて、ホッと一息。その土地の方言に接し、人情にふれる、そんな体験ができるのが駅前旅館。一泊二食付6000円は、あたりまえ!そこには豪華な夕食も露天風呂もないが、どこか懐かしく心が和むパラダイス。かつては鉄道や地場産業の発展とともに繁昌した駅前旅館が、いまも元気に営業している姿を全国にたずね歩く。
目次
序章 駅前旅館に出会ったころ(初めて泊まった駅前旅館―中央本線韮崎駅・万屋旅館;ツーリング時代の宿―滋賀県浅井町・高佐屋/北海道留寿都・寿楽荘)
第1章 駅前旅館の雑学的考察(駅前旅館とその他の宿泊施設の違い;駅前旅館の建つ場所;駅前旅館の宿泊心得;駅前旅館の利用者 ほか)
第2章 駅前旅館旅日記(姨捨の思い出―篠ノ井線姨捨駅・旧青木屋旅館;鉄道開業と駅前旅館―中央本線富士見駅・油屋/越後線分水駅・山甚旅館;八高線と駅前旅館;飯田線と駅前旅館 ほか)
著者等紹介
大穂耕一郎[オオホコウイチロウ]
1954年東京都文京区生まれ。1976年秋田大学教育学部卒業。同年より東京郊外で教員生活。物心ついたときからの鉄道ファンで、釣りとクマが好き。鉄道民俗学、環境民俗学の探求をすすめている
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感想・レビュー
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てつ
57
旅には人それぞれの作法がある。特に鉄旅好きにはなおさら。僕は駅前の安いビジネスホテルが定番だったが、この作者は駅前旅館にこだわりをもっている。今の時代は敷居が高いのかもしれない。でもまだ残っているのを眼にする。のんびりとした旅の感覚を思い出させてもらった。しばしのほっこり。楽しかった。2017/07/02
つちのこ
2
鉄道マニアである著者の長年にわたる駅前旅館との関わりと、それを愛してやまない気持ちが込められた労作である。電車を追いかけて、全国の駅前旅館に足を運び、後継者不足やビジネスホテルやシティホテルの進出によって廃業に追い込まれていく実態を生々しくルポしている。駅前旅館に泊まることは単に金がないからではなく、ある種の粋と風情を感じる。 ホテルのような無機的なシステムではなく、人と人とのコミュニケーションで成り立っているこうした駅前旅館は、今後益々希少な存在となっていくだろう。(2002.10記)2002/01/13
masaYoshizuka
2
駅前旅館に期待して読んでみたが、ローカル線の話の方が比重が大きい。著者はローカル線・渓流釣り・バイクなど、ちょっとあっち側(ボクにとって)の趣味の持ち主。2010/09/13
ikedama99
0
駅前旅館・・という響きが好きです。立派な旅館より、このような旅館がいいな・・と思います。山田線の話は、自分が2年前に山田線に乗って宮古まで向かったときのことを思い出し、うんうんと頷いていました。楽しく読めました。 2014/09/21
Gen Kato
0
再読。この本で取り上げられている旅館のうち、今も営業しているのは何軒くらいあるのだろうかと考えながら読みました。旅人宿・商人宿がビジネスホテルに変わる前の、貴重な記録です。 再再読。この本は、たまに読み返したくなります。旅の空気を味わう資料としても。2013/08/16