内容説明
卓越した批評家でもあったプルーストの、小説と溶けあう白熱の評論。雄篇「ジョン・ラスキン」をはじめ、美術論、社会時評、音楽時評などを収める。
目次
ジョン・ラスキン(『アミアンの聖書』訳者の序文より)
読書について(『胡麻と百合』訳者の序文)
美術論
社会時評
音楽時評
社交・肖像
親殺しの肖像
アンケート回答
著者等紹介
プルースト,マルセル[プルースト,マルセル][Proust,Marcel]
1871年7月10日、当時のパリ郊外オートゥイユに生まれる。1922年11月18日、没
保苅瑞穂[ホカリミズホ]
1937年生。独協大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
54
          
            聖書への熱情に導かれたラスキンが、キリスト教の美からギリシアの美へとまっすぐに進み、聖堂の魅力と土地の美しさを結びつけた事に感銘を受けたプルーストは、カトリックの象徴体系に基づく美よりむしろ、《少しも象徴的でない》外縁に目を向けようとする。例えば、ステンドグラスの背景にいる人々や動物たち…《両替商は貨幣の純度を検査している所を、毛皮商は毛皮を買っている所を、屠殺業者は牛を屠殺している所を、騎士は家紋を身に帯びている所を》。樽屋、巡礼、農民、武具師、石工、靴屋…《沈黙した民衆の群れ》を彼の目は見出していく。2016/04/14
          
        燃えつきた棒
32
          
            美術や音楽の素養に著しく欠けるため、この巻はやや退屈してしまった。 巻Ⅰの文学篇では林立した付箋もこの巻では、わずかに編者あとがきに付しただけだった。 やはり、芸術は知れば知るほど面白くなるが、知らなければその面白さが分からないのだろう。/   【いまヴァイオリン奏者は、巧みにヴァイオリンの一節を弾いている。だがその効果は眼に見え、人はそれに喝采する。かれは達人である。これらすべてがついに消え失せ、演奏者がヴァイオリンの一節に完全に溶けこんで、もうその一節がかれと見分けが付かなくなってしまうときに、→2025/06/23
          
        松本直哉
25
          
            自動車に乗って教会巡りをする短い文章が面白かった。一昔前のゾラの時代はまだ馬車だった。新奇で高価な贅沢品だったこの文明の利器を通して中世の教会を眺める。運転手の操縦桿を楽器に喩えて、ギアの入れ替えによる変化を音楽のように感じる。ここには新しい文明に素直に驚いている人間がいる。ラスキンを通して古い時代の文化に触れて愛してやまなかったプルーストだが、同時に詩人モンテスキューを通じて、同時代のガレやラリックにも触れて、新しいものへの貪欲な好奇心も見せる。この両者の併存に彼の批評精神が宿っていた。2020/07/19
          
        コウ
0
          
            で、こちらが芸術篇。フェルメールの『デルフトの眺望』が装丁に使われていてグッドです。★★★☆☆2008/07/16
          
        

              
              
              
              

