内容説明
『鬼龍院花子の生涯』のモデルといわれる土佐の侠客・鬼頭良之助。その鬼頭を渡世上の叔父と敬慕しつづけた山口組二代目・山口登。“人は一代名は末代”といわれる通り、その名は広く知られながらも、語られることの少なかった二人の侠客の姿が関係者の証言などにより明らかになる。激動の人生を駆けぬけた男たちの群像をいきいきと描き出す。
著者等紹介
正延哲士[マサノブテツシ]
1931年高知県生まれ。立命館大学中退。放送局勤務を経て、著述活動に入る。実在したやくざの人間像や、冤罪事件をテーマにした作品などで知られる
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感想・レビュー
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ちあき
1
鬼頭良之助と山口登というふたりの侠客について書いた本。彼らの生涯を追うことで大正から昭和にかけての社会・世相がうかびあがってくる(戦争に関する記述はやや紋切型か)。見てきたように書かれた部分、登場人物になりきって書かれた部分、資料や証言に語らせる部分が渾然一体となっていて、ノンフィクションというよりノンフィクション・ノベルの感触。政財界や興行界との結びつきについてのエピソードも山ほどあるが、鬼頭が頻発する労働争議の仲裁にたち労働組合結成にかかわるところがもっとも興味深かった。2009/09/08