内容説明
二十数年前、富士の裾野の調練城築城問答で熊木伯典に敗れた佐藤菊太郎の一子兵之助。美少年侍兵之助は今ふたたび日光霊城審議で熊木家との対決を迎えようとしていた。才気煥発で抜け目のない兵之助に対するはおおらかで何事にも無頓着な熊木公太郎。親子二代にわたる闘いの勝敗はいかに。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
寺(いつも上品でごめんね)
55
レビューは全巻読んでからするつもりであるが、この4巻は何事かを言わずにいられない。白井喬二、すごい。大正時代に書かれた時代小説に泣かされるとは思わなかった。クライマックスの公太郎と助一、お蓮の再会は泣かずにはいられない。私の日頃あまり使わない言葉だが、「まごころ」がある。胸がいっぱいになる。作って作って作った物語なのに、本当の事がある。4巻の時点でもう大名作である。2019/06/19
アヴィ
1
主人公公太郎に続き、佐藤家も二代目兵之助が登場。隔世遺伝の怖さなのか、佐藤家も熊木家も二代目は初代に全く似ていない。直情であっさりと熊木伯典のトラップに引っ掛かる佐藤菊太郎という図式だった初代の闘いに対して、二代目は権謀術数に長け、策を弄する兵之助と、思ったままに行動する公太郎という、ほぼ逆の立ち位置になる。あれほど佐藤家の勝利を願っていたはずなのに、兵之助に肩入れ出来ず公太郎を応援してしまう。だがこの物語はまだまだ長い、波瀾万丈の物語は5巻へ。2025/09/27
tsukamg
1
伯典と菊太郎が息子の闘いにて20年ぶりに対面。菊太郎の息子兵之助は父よりも策を巡らす資質に富み、伯典の息子公太郎は茫洋としてつかみ所がない。細かいところを気にせず、明朗で、器の大きい大人物に見えるのは読者だけという構造なので、物語の中では割を食う展開。そして読者はやきもきするのだ。2016/03/29