内容説明
ある日、編集者のもとへ不思議な原稿が届けられた。文字と記号がいりまじった、暗号のような文章。“£YE SUK@NT MUWOQ”相談を受けたポール・ギャリコは、それを解読してもっと驚くはめになる。原稿はなんと、猫の手になる、全国の猫のためのマニュアルだった。「快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」ひょっとしてうちの猫も?描き下ろしマンガ(大島弓子)も収録。
目次
人間の家をのっとる方法
人間ってどういう生き物?
猫の持ち物、猫の居場所
獣医にかかるとき
おいしいものを食べるには
食卓でのおすそわけ
魅惑の表情をつくる
ドアをどうする?
クリスマスのおたのしみ
旅行におともするコツ〔ほか〕
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
503
本書は英語版からの重訳。原書は猫語で書かれていたものをポール・ギャリコが英訳し、さらに灰島かりが日本語に。猫の側から見た人間世界という点では、本邦に『吾輩は猫である』という大先達がある。ただし、本書はそうした俳諧趣味に溢れた高踏的な語りをとらず、より実用書的な側面から書かれている。すなわち、どうやって人間に自分たちこそが猫を飼っているのだという幻想を抱かせるか、そして彼らにどんな風にして正しい猫の飼い方を教えるのかに本書の眼目がある。ちなみに、彼らが洞察する人間の本質は「虚栄心」と「孤独」であるそうだ。2015/03/17
mae.dat
267
くそっ忌々し猫め。元々は猫が猫の為に猫語で書いた、猫が人を手懐ける為の指南書。それをポール・ギャリコさんが英訳したもの。そしてその日本語翻訳版がこれなのね。本書の存在は認識していましたが、余り食指は動かないでいました。でも先日読んだ『英詩に迷い込んだ猫たち』に引用されていたのが印象的でね。20世紀中頃のアメリカで著されたみたいです。文化が少し違っていたり、特に食べ物に関する知識は更新が必要そう。それでも充分に参考になります。敵を知れば殆うからずの奴ですね。って、本能の急所を突いてくる。抗うの無理。🐈⬛🐈2024/11/28
匠
208
めちゃくちゃ面白かった!実際書いてるのはポール・ギャリコなわけで、その鋭く細かい観察眼には恐れ入りましたと言うしかない。本当に猫がそう考えていそうで怖い。怖いけど楽しい。なんせこれは猫による「人間のしつけ方」なのだから。したたかで我侭で気まぐれで、プライドはピカイチ。猫好きな人や猫と暮らしている人なら思い当たる事が次々登場すると思う。唸ったのはメス猫視点だということ。ってことで男性の操縦法まで指南されてる錯角に陥ってしまうのが笑える。いや錯覚じゃなくそのものズバリなんだろうな、これは(汗)2014/03/06
小梅
206
実に楽しい本でした。まず表紙の裏、作者の紹介部分にも猫の写真と、交通事故で母を亡くし生後6週間にして広い世の中に放りだされる。1週間ほどの野生生活を経て人間の家の乗っ取りを決意…猫がタイプライターで原稿を書き、それを編集者が翻訳した。との設定で、この賢い猫が若い猫やこれから人間の家を乗っ取ろうとしてる猫に向けての指南書なのである。 「猫語のノート」という作品もあるようなので、こちらも読んでみたい。2014/03/18
青蓮
133
いかにして人間の家を乗っ取るか、飼い主をどう思いのままに躾るか、ユーモアたっぷりで語られる猫による猫のためのマニュアル。猫好きにはたまらない本でした。私はアレルギーがあるので、猫は飼えないけれど、本当に猫ってこんなことを考えているのかもと思ってしまう。ツィツァの写真も可愛らしい。可愛い顔、可愛い仕草で人間を惑わす小さな悪魔。猫好きという時点で私も既に猫に躾られてるのかも。猫を愛する全ての人へおくる必読書。2017/05/22