内容説明
「田舎を歩きまわらないと、アジアのことはわからない、と私は考えるようになっています。それにジャカルタやマニラで知識人と話しあっているより楽しいし…」。物産、交易、日々の暮らし。少数民族、漁民、農民が形づくるアジアの「今」。
目次
1 アジアの歩きかた(アジアの歩きかた;歩く学問;ムランタウの一期一会 ほか)
2 バナナの授業(バナナと子どもたち;授業・バナナと日本人―小学校の子どもたちとの二時間)
3 田舎の主体性(田舎の主体性;フィリピンの行方を考える;アジアで日本は何をしているか ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
15
存命であれば99才。ナマコやエビやバナナの。「歩かないとわからない」という方法論、アジア旅では民衆にとけこみ料理もする。ウォレスや菅江真澄、松浦武四郎、そして宮本常一の系譜。「心動かされる思想/活字から離れて、その書き手のからだと声にふれると、そのくいちがいにがっかりすることが多い」という鳥山敏子をして、「ほっとしてひきこまれた」と言わしめた『バナナの授業』。戦後80年。日本のある種の一派を成した彼らの〈考え〉は、いまどこにどんなふうに散らばっているのだろう。2025/04/07
Hiroki Nishizumi
4
昔好んで読んだ鶴見良行を再読している。当時とはモノの見方や考え方も少し変わった。以前なら感心していた内容にもツッコミを感じることもある。でも基本的に鶴見良行は面白い。引き続き古本をめくり直そう。2020/07/22
はりねずみ
4
「バナナと日本人」の鶴見良行さんのアジア探訪記。 古い本だが、「辺境」世界におけるグローバル化の余波を見ることができる。「バナナと日本人」や「エビと日本人」と内容が重複するところもあるが、日本人がエビを食べるということ、バナナを食べるとということはどういうことなのか、想像の及ばない世界での影響は思いの外大きい。良し悪しの問題ではなく、事実として存在していることは気に留めておくべきだろう。どんなに田舎を歩いても、日本人のにおいがする。多様であることの素晴らしさを終始伝えようとしている。2016/11/25
遊歩者
0
古本屋で買ったまま、放置していたのを引っ張り出して読んだ。約二十年前に書かれた本だけど、とても示唆に富んで、興味深く読んだ。「田舎の主体性」の件りに出てくる政治家のトンチンカンな発言や振る舞いは、今も昔も変わらないんだなぁ、とつくづく思った。2015/12/02
shrzr
0
「東南アジアをみるときの、一種の思想みたいなもの、そういうことをお話しようと思ってたんです」 20年以上前に書かれた文章を集めたものだが、アジアを考えるときについ見落としがちな視点に気づかされる、今でも有効な方法論の詰まった本。 キーワードは「あるく」。2012/02/29
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- 和書
- 地球先生