内容説明
年のとりかたは人さまざま。でもよりよく老いる道すじを選びたい。限られた時間の中で、いかに充実した人生を過ごすかを探る十八篇の名文。来るべき日にむけて考えるヒントになるエッセイ集。
目次
未知の領域にむかって(鶴見俊輔)
柳先生(中勘助)
『黄昏記』より(真野さよ)
生命の酒樽(山田稔)
最晩期の斎藤茂吉(鮎川信夫)
幸せな男(高森和子)
ジジババ合戦、最後の逆転(富士正晴)
分別は老熟につきもの(キケロ)
若さと老年と(金子光晴)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
団塊シニア
40
「毎日の一コマ一コマに興味をもつということが生き方の手本のように思える」という筆者の言葉こそ老いの生き方の答えのような気がする。又高森和子氏の「幸せな男」が秀逸な作品です。2013/09/12
よし
7
私の好きな作家たちが「老いの生き方」について述べたエッセイのさわり。さすがに名文、身にしみる言葉にあふれている。「わが生は かくのごとけむ おのがため 納豆買ひて 帰る夕暮れ(茂吉)」「老年はわれわれの顔よりも心に多く皺を刻む(モンテーニュ)」「物の一杯に詰まった袋には、それ以上新しくは入れられない。が、空っぽになった袋へは、新しく選んだ物を入れる事ができる。失うもまたよし。(幸田文)」「私の六十歳は、それらしくなく、中身も薄ぼんやりしていて、目方も風袋も軽く、ずうっとこう稚なかった。・・(年齢のこと)」2017/03/14
弥勒
6
「しかし、そういう(老いにおける暗い)面を見て、自分もやがてふみこむであろう未来について、想像力をもつことは、自分をゆたかにする。」これまで、私は“老いる”ことについて想像したこはなかつた。同じやうに不慮の事故により障害者となることや、貧困に陥ることについても想像したことはない。しかし、生きている限り老いはするし、障害者や貧困だつて、私がそうならないとは言い切れない。これは、誰にでも言えることではないだろうか。2017/06/29
讃壽鐵朗
5
野上弥生子の軽井沢が、印象的2017/05/17
まどの一哉
3
総じて老いてもかなり元気な人々という気がする。食が細り、目や足が衰えてくるとどうしても気力が落ちると思うが、取り上げられている著名人が当然だが我々凡人よりはるかに脳力が高いので、肉体やその欲求が衰えても日々の知的活動がなんら減衰することはない。この辺りがまったく別世界のような気がする。もう少し日々の小さな絶望と虚しさに触れてほしかった。2017/03/27