内容説明
世界中で大評判の超ロングラン・ミユージカル「キャッツ」の原作を新訳で贈る。あまのじゃく猫におちゃめ猫、猫の魔術師に猫の犯罪王…。色とりどりの猫たちがくり広げる、奇想天外な猫詩集。ノーベル賞を受けた、20世紀最大の詩人エリオットが、1939年、51歳のときに出版したこの詩集は、エリオットの猫観察記ならぬ猫交友録とでもいえるもの。ニコラス・ベントリーのカラーさしえ14枚入り。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
185
『キャッツ』の原作は、これ以外にも絵本版がある。そちらは田村隆一訳、エロール・ル・カインの挿絵。一方、こちらはラフカディオ・ハーンの翻訳などで知られる池田雅之訳、挿絵はニコラス・ベントリーという陣容。本書では、1つ1つの詩は短いものだが、15篇を網羅しており、それだけ変化に富んだCATSたちを楽しめる。ただ、訳が詩人の田村隆一のそれに比べて硬く、リズミカルではないのが残念だ。随所に注をつけるなど、工夫されてはいるのだが。やはり、ここは言葉の意味よりもリズムだ。ベントリーの挿絵はロンドンムードに溢れたもの。2014/08/20
(C17H26O4)
83
ミュージカル『CATS』の原作。同タイトルをゴーリーの画のもの(小山太一訳)でも読んだが、詩を楽しみたいのなら池田雅之訳のこちらの本だと思う。読者が筋と内容を追いながら読めるよう、原詩にはない改行や空間あけを用いた、という訳者の読者に対する配慮のおかげで苦なく読み進めることができる。リズムは大切にしてるが、韻を踏むことにこだわりすぎてないところも良いのかも知れない。注釈が巻末にまとめてあるのではなく、都度つけてあるのも親切に感じた。ニコラス・ベントリーのとぼけた感じの画もまた味わいがあって良い。2021/11/24
Aster
56
エリオットの他の作品はまだ読んでいません。作品的にもこれだけ見て評価するのは難しいかも(作家の雰囲気を掴めていないので)。感想としては…気分が晴れやかになる。大してストーリーはないけれどそれが良い…と言えばいいのかな?正直こういうものをここ最近読んだことがないので感情をどう表せばいいのか。小さい頃に読んだ絵本を思い出した。懐かしい気持ちだ。ただ詞は原文で読んでオリジナルのリズムを感じたいかな。2020/11/07
井月 奎(いづき けい)
52
ミュージカル『キャッツ』の原作で猫の名前に詩人の思いが込められているように思います。名前と楽しくにぎやかな詩がお互いになにかを隠して、何かを見せてくれているような読み心地ですね。お茶を飲みながら、すらすらと読むこともできる、そんな読みやすさを持っていますけれども、ちょっと猫のしっぽを持ち上げてみたり顎を撫でてあげたりすると、きっと猫の言葉での詩が現れます。それはぐっと視線を下げて、猫の目の高さで世の中を見ることであるのかもしれません。2021/01/17
ぶんこ
50
ミュージカル「キャッツ」関連本として読んだ3冊目ですが、この本が一番「キャッツ」そのもの。そう思ったら、これを原作にしたようです。読んでいると訳詩がリズミカルなので、ミュージカルの場面が全て思い出せます。最も感動して涙したグリザベラが出てこないのが淋しかったです。2017/05/03