感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
59
タイトルにあるようにねずみ男が冒険するわけではないようだ?俗っぽい願いを持った少年を諭したり、騙くらかしたり、この一連の短編に登場する彼はまるで出来損ないの仙人だ。いや、飽くまでも己れの欲求に正直な彼は昭和の時代に鬼太郎に出会う前のねずみ男なのだろう。こうして生きることを生きて来たのだ。物語は大なり小なり“幸せ”を求める人々を描くが、あるときには「この世の中にこれは価値だと声を大にして叫ぶに値することがあるかね すべてがまやかしじゃないか」と言ってみせる彼が一番“幸せ”を求めているのかもしれない。2022/08/30
とんかつラバー
14
「マンモス・フラワー」環境汚染で東京に突如巨大な花が出現。今ではアーバンな夢の島だが、1950年代の埋め立て時代の光景がリアルである。当時は悪臭に満ち、大量の蝿が発生、子供達が蝿叩きを持って学校で蝿叩き運動をするという中国のスズメ撲滅作戦みたいな事を真剣にやっていた。水木サンの作品は昭和の街並みが描かれているのが今となっては歴史的な価値すら感じる。2024/01/02
とんかつラバー
11
風刺の効いた幸福について考えさせられる作品が多い。口先ひとつで金儲けだけでなく和平までやってのけるのだからねずみ男の能力は計り知れない。口先と言ってもおべっかだけでなく、人間の根本的価値観をゆさぶる。「錬金術」では金(キン)が作る事ではなくて金が出来るかもと信じる事こそが幸せであると説いている。あながち人を騙しているだけでなくて、欲にまみれた俗世では真理を説いているのかもしれない。「子供の国」は歴史の勉強よりも権力者がいかに独裁に至るかを皮肉たっぷりに描いている。2022/03/03
おーすが
10
まるごと一巻ねずみ男。臭くてがめついねずみ男だけど、超利己的な行いは逆に謙虚であるともいえるのでは、とか思えてきておもしろい。「たくらむからむずかしくなるんだよ」とか。海ジジイすき。2021/04/02
尾白
4
舌先三寸であちらにひらり、こちらにひらり。ねずみ男ってこんなに魅力的でしたか2022/09/19
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- 和書
- 唱歌・讃美歌・軍歌の始源