内容説明
上方落語の人気者・桂枝雀が、日ごろから愛してやまない持ちネタ厳選60を紹介する落語案内。噺の聞きどころ・聞かせどころ、落語に登場する人物たちのかわいらしさやいじらしさ、なにげない一言が描き出す背景の厚みと本当らしさ…といった落語本来の魅力をはじめとして、その噺を教えてくれた落語家さんたちのこと、弟子たちや嫁さんや子どもたちのこと、若き日の苦労話などもおりまぜて、枝雀ならではのらくごワールドが展開する。
目次
青菜
あくびの稽古
愛宕山
池田の猪買い
いらちの愛宕詣り
植木屋娘
牛の丸薬
うなぎや
延陽伯
親子酒〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akihiro Nishio
23
東京出張の時に時間ができれば寄席に通うようになり10年になるが、大阪出張は少ないため上方落語に親しむ機会は少ない。その上方落語の大横綱である亡き桂枝雀が、自分の持ちネタ60席を、その噺を会得した経緯や、その解釈、演じる上で気を付けているポイントなどを与太話とともに語ったものである。同じ噺でも江戸落語とサゲが違ったり、解釈が違ったりで興味深く読めた。もう枝雀さんの落語を聞く機会はないが、もっと上方落語を聞く機会を増やしたい。2017/07/09
chanvesa
20
落語そのものの解説より、題材にまつわる思い出が語られることが多いか。「ふたなり」では、枝雀師匠の死生観が書かれている。死んだら自身の存在がなくなることの恐怖を克服した、「我」が「何度も生まれかわり死にかわりしているうちに『我』が次第に薄くなって、いつの日にか『我』がなくなり」「自他の区別がなくなって」大きな世界に吸収される、と(234頁)。繊細な人間である。結果論に過ぎないが、この本に散りばめられた彼の死生観の断片から、あの死は残念で残念でならないが、仕方がなかったのかもしれないと思ってしまう。2025/02/28
ソルト
15
「枝雀寄席」をTVで観る為に、土曜は大急ぎで学校から帰っていた。お腹を抱えて笑ってる私に「何がそんなに可笑しいの?」と母。母は「事実にしか興味が無い」と言い放つ人。小説を読めば1ページ目で寝る、と自慢してた。枝雀さんも小説は山本周五郎以外は読まなかったらしい。書物に対しては「読むからにはプラスにならなければならない」と。落語は「演者と聞き手のお互いが一定の約束事をベースにして遊ぶ」「頭の体操」だと言う。枝雀さんの落語がまた聴きたい。つくりものの中にリアリティを感じた時の快感に酔いたい。2016/10/17
a43
15
ファンのバイブル。 とりあえず、60席は全て聞いて(見て)から読みたかったので、時間が少しかかった。枝雀師の為人、私生活、師弟関係などものぞける。エッセイ的解説書。お好きだという浄瑠璃もタイトルが明らかになっていたので、いずれ聞いてみたい。2015/05/31
かもい
14
枝雀師が「持ちネタ」とした発刊当時の60席の解説と言うかエッセイ。噺の内容とは全く関係のない項もあるが、喋り口調そのままに落語のこと師弟のこと自身のことについて語る内容は常に挑戦する貪欲で真摯な人柄を偲ばせる。「たちきれ」への思いも再三述べられており、枝雀落語で聞きたかったなあと詮無い思い。親子丼を食べられるようにならんとあかんかったんやなぁなんて思ったり。2015/10/31
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