内容説明
年に1回、上野の美術館で開催されていた読売アンデパンダン展。それは、出品料さえ払えば誰でも出品できる無審査の展覧会で、1960年代には絵の具とガラクタと青年たちの肉体と頭脳とが灼熱した坩堝だった。当時、出品作家でもあった著者が、目撃者として、作品や読売アンデパンダンで培養されつつあった不確定性の芸術〈ハプニング〉について描く。
目次
序章 熱と熱の物々交換
第1章 「民主化」という文字の輝き
第2章 絵画の直接性を求めて
第3章 仕掛人と目撃者
第4章 無償のスペクタクル
第5章 坩堝が割れる
終章 美術館のカケラ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
64
60年代の前衛芸術作品が一堂に会した「読売アンデパンダン展」。ここに出品した作家、作品を通して、当時の芸術について俯瞰する本書。赤瀬川原平による、「東京ミキサー計画」「路上観察学入門」などの、同時期の本を経て手に取ったので、一気に知識のピースが繋がった気がする。2015/03/06
弟子迷人
21
赤瀬川原平氏ご逝去にて昔の記憶を総動員。(←読み返したかったのだけど、手持ちが行方不明。><)登録数で人気の『トマソン』や『路上観察』はもちろん良いけど、こっちで書かれているアートは超絶面白いのでたいへんお薦めです。今、こういうアート/イヴェントをやる人、あんまりいないだろうけど(ポップにするとchim↑pomか? 岡本太郎の壁画に「落書き」したグループ)、「宇宙の缶詰」とかすごい!! こういう発想が『老人力』につながったと思う。自分はこの本に触発され、中西夏之の「洗濯バサミ」を某美術館から盗みました。2014/10/28
Toshi
6
1949年から1963年まで15回行われた無審査展覧会「読売アンデパンダン展」。最後は芸術の破壊、作品の無意味化、自己破壊に至っていく現象が紐解かれる。無茶苦茶面白い。ここまで伝わる言葉、センスある文章って!!赤瀬川原平さんの芸術的言語能力の凄さを改めて実感。2016/02/05
sou
4
登場する"ガラクタ"作品の数々に懸ける作者とそれを取り巻く空気感のエネルギーに圧倒されました!赤瀬川さんが今は無き読売アンデパンダン展について関係者へのインタビューを交えながら回顧する一冊。ムチャクチャな前衛作品だらけだったという1960年代当時の展示会場にタイムスリップしてみたいです。2018/03/25
AU
3
アンデパンダンに関わる人の初期衝動に触れられた感じがして面白かった。 60年代は、身体を動かさずにはいられないようなそういう時代のエネルギーを感じる。意志と身体がシンクロしてる。 絵画が立体になりオブジェ化したのもまるで身体を獲得したかのよう。 歩き始めた赤ちゃんみたいに覚束ない身体は、どう転がるかわからないけどでもそれが面白いし、とりあえず動きたくて仕方ない。 今や大物の人たちも夢中でその勢いに身を任せてた様子が新鮮であり、若さの爽やかさがあり、個人的には熱量に感化される部分もあり、とても良かった!2018/04/06
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