出版社内容情報
「朧車」「おどろおどろ対吸血鬼」「陰摩羅鬼」「牛鬼」「ほうこう」「髪の毛大戦」「妖怪反物」「かまぼこ」の8篇収録。
【解説: 夏目房之介 】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
40
水木しげるをある程度知った上で読むと味わいが変わる。白でも黒でもない日和見のねずみ男こそ著者の化身。食べ物とカネにうるさく、いざとなれば保身第一。でも人間なんて普段は偉そうな事を云っていても切羽詰まれば案外こんなものじゃないか。坂口安吾「堕落論」じゃないけど、中途半端な意識高い系よりこの開き直りの方が美しいとさえ思える。にしても反物にされたりかまぼこにされたり鬼太郎も散々だな。世の為人の為に生きようとするとこんな目に遭う。それでもめげない彼も又著者の分身。報われぬ自己犠牲にやなせたかしの背中も重なったか。2017/08/22
tomi
28
「朧車」は水木がひょんなことから鬼太郎とねずみ男と出会い、二人を同居させた事から水木家が奇怪な現象に巻き込まれるユニークな展開。表題作は日本を侵略しようと企てる中国妖怪と日本の妖怪たちとの対決を描く。他に「陰摩羅鬼」「牛鬼」「髪の毛大戦」などを収録。この巻でも鬼太郎は反物にされたり、蒲鉾にされて売られたりと散々だが、仲間たちが危機を救う。ねずみ男は相変わらずの信頼の置けないグレー振り。2022/03/17
袖崎いたる
3
『墓場鬼太郎』でのエピソードがまるまる(それともちょっとくらい違っていたりするのかしら)入っているのが4話ほどあった。しかしながらねずみ男というキャラははっきりしないね。白でもない黒でもない、本当にグレー(ねずみ色)なんだな。それにエピソード毎での鬼太郎への態度も違うのはなんなんだろう。ときに敵が鬼太郎を殺すのを幇助したりするし、ときに「鬼太ちゃん」とかいって阿るし。はたまたライバルを称したりするし、あるいは「絶交だ」とかすねてみたりする。こういうのをトリックスターとか呼んだりするのだろうかしら。2015/06/12
えふのらん
2
表題妖怪反物とかまぼこが兎に角強烈。溶けたり押しつぶされてぺらぺらにされたことは何度もあったが、ここまで”素材感”のある虐待ははじめてだ。牛鬼は造形と巨大感、そして破壊する村の精密な描きこみが調和していて、怪獣映画らしさを取り入れた作品として成功している。2024/02/11
MO
1
緻密に描き込まれる植物に感嘆するしかない。猫娘ウォッチャーの自分としては登場回数の少ない彼女に少し残念な気持ちだが、出て来た彼女の姿はまだ完成形ではなく異常に野性味があって面白みがあった。2020/02/11