内容説明
マンホール、エントツ、看板、ハリガミ、建物のカケラ…。路上から観察できるすべてのものを対象とした〈路上観察学〉。その旗印の下に都市のフィールド・ワーカーたちが集まって、隠された街の表情を発見する喜びとその方法をご披露する。街歩きが好きな人には、欠かせない、路上観察マニュアル。
目次
1 マニフェスト
2 街が呼んでいる
3 私のフィールド・ノート
4 観察する眼玉たち
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
107
路上観察學。私は散歩するのは好きだし、その途中で植物を観察したり、変わったものを写真に撮るのも好きで日記化もしています。こんなふわっとした者だけど、1960年代に路上観察學は芸術から脱して學門にまで昇華していた人達が居ました。路上観察観察學は大きく分けて2つ空間派と物件派があり、本書は物件派のものです。象徴的なものにトマソンがあります。トマソンとは、主に都市空間に見られる、不動産と一体化しつつ「無用の長物的物件」となった建築物の一部のことを指します。私は記憶に残したいけど記録したい人達もいるのだなぁ。2024/03/10
おいしゃん
73
最近すっかり赤瀬川さんにハマっている。今回のテーマは「路上観察」。ターゲットは、マンホールのマーク、ゴミ箱の中身、女子高生の制服、川に浮かんでいたもの、果ては街で耳にしたオナラの種類まで。それらを学術論文かのように、精緻に、真面目に記録。まさに、B級本の極みである。2015/02/18
takaC
67
いろいろと参考になりますというか勉強になります。その思考を身につけたい。2016/10/11
saga
40
『建築探偵術入門』『建築探偵の冒険〈東京篇〉』と読み進め、奥付2016年の本書に進めたことは幸いだった。路上観察の醍醐味をより深く理解できたと思う。赤瀬川・藤森・南氏の対談は、突き抜けすぎていてなかなか理解ができなかったが……神の視点という対談に納得した直後に、神もやはり楽しんでいたことを知った。やはり面白い! 杉浦日向子、荒俣宏ご夫妻の寄稿文を読む幸運にも恵まれた。2019/10/13
かっぱ
38
人間の動きと意志と感情と経済のすべてを算出して除去したところに取り残されたものがあられわてくる物件=トマソン。路上に突如として現れる超現代芸術。紙上から路上へ。鑑賞から観察へ。今和次郎の考現学の眼差しを目玉に入れて、路上観察者は今日も行く。そう言えば、アスファルトに空いた小さな丸い穴である「京都の坪庭」って最近見たことないなぁ。どこにいったんだろう。トマソンの数によって社会が異質なものに対してどれくらいの許容度を持っているかを計ることができそう。2015/01/26