内容説明
上方落語の人気者・桂枝雀が、落語の魅力と笑いのヒミツをおもしろおかしく解きあかす本。古典中の古典「寝床」「宿替え」から新作「雨乞い源兵衛」まで、持ちネタから選んだ落語五席を紙上で再演。さらに五回の対談で「笑いのメカニズム」について考えをめぐらし、落語のサゲを四つの型に分類してみる。
目次
鷺とり
まずは緊張の緩和から
宿替え
サゲにもいろいろありまして
八五郎坊主
情は情でも落語の情は
寝床
新作落語はいかがです?
雨乞い源兵衛
しゃべり残したことなどを
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- 評価
落語の愉しみ本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
23
サゲの4部類の理論的な明晰さは見事。しかし、「緊張と緩和」理論はそう思う時もあるし、噺によってはそうなのかわからない。例えばナンセンス三昧の「いらちの愛宕参り/堀ノ内」の緊張の要素はなんだろうか。この本の中の「寝床」は、浄瑠璃/義太夫欠席の言い訳を何人分も聞いている内に旦那の怒りが増幅し、緊張が高まる。この過程で欠席理由=緩和が挟まるから笑いが生じると言うこともできるか。あとがきの上岡龍太郎の上方演芸の状況を端的にまとめ、枝雀が小米の時にいかに異質な天才であったのかわかりやすく語られ秀逸。2025/02/22
やまねっと
13
枝雀師匠がすごいのはここに書かれている通りである。笑いを理論的に解釈させたのもこの人が最初ではないか? 緊張の緩和などは明石家さんまが結局のところそういうことと、言っているように最初に提示したのは枝雀師匠なのだ。サゲの四分類は落語を実際作る上で役に立つのではなかろうか。試してないからどうとも言えんけど。 この本には5つの枝雀師匠の落語の速記が入ってる。枝雀師匠を思い出しながら読むとプッと笑いがこみ上げる。 小佐田先生も偉なりはって上方の落語作家といえばこの人が一番に挙がる。枝雀落語はハマると抜け出せない。2024/09/30
かもい
12
枝雀落語の速記5席と、幕間にて座付き作家の小佐田定雄氏との対談を収録。緊張と緩和は元より、「ドンデン・謎解き・へん・合わせ」のサゲの4分類が興味深い。図解するんかい!と笑いながらもその徹底ぶりには背筋が寒くなる。古典落語の情の話、「薄い情こそ上等」と言うのも目鱗。対談部分だけに絞るととても薄い本だがめちゃくちゃ中身が濃かった。2015/10/18
tatsuya
10
緊張と緩和が笑いの基本。それとは別で印象に残ったこと、「人を先にする心ですけど、落語に限らずどの分野でも、人が涙するということは、結局自分をあとにして他人を先にするということ。人間としてそうありたいんだけど、現実生きていく上では、なかなかそうもいかない。どうしても自分を先にしてしまう。そこで、せめて落語の中で、人を先にする心に触れて、本当はそうありたいものだな、と涙するわけです」2020/05/30
すいへい
9
笑いの分析がすごい。オチの分類も2016/01/03