出版社内容情報
みずみずしい魅力の源泉。第二作品集『南島譚』に準拠し、「環礁」「わが西遊記」「古俗」「過去帳」の他、書簡及び日記を収載する。
【解説: 群ようこ 】
時を超えて燦やく彗星―。「南島譚」「環礁」「わが西遊記」「古俗」「過去帳」「日記」他収録。
目次
南島譚/環礁/わが西遊記/古俗/過去帳/日記/書簡
内容説明
時を超えて燦やく彗星―。「南島譚」「環礁」「わが西遊記」「古俗」「過去帳」「日記」他収録。
目次
南島譚
環礁
わが西遊記
古俗
過去帳
日記
書簡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
67
いい意味で裏切られたと言えるでしょう。中島敦というと、堅苦しく難解なイメージでしたが、日記や書簡を通じて意外とお茶目な一面も持ち合わせているのだと思わされました。日記などが収録されているのは、その作家の素顔が覗けて良いですね。2020/04/12
優希
39
過去帳や日記から中島敦のイメージが変わります。難解で堅苦しい印象でしたが、意外とお茶目なんですね。2022/10/01
SIGERU
28
中島敦とは何か? 『山月記』を初め、中国古典に取材した高雅な小説で知られる作家。作品集が刊行されたのもようやく没年であり、文名が上がる前に33歳で生涯を終えた、悲運の文学者。何よりも、卓越した文章家であり、「隴西の李徴は博学才頴」は、もはや暗記してしまったほどの名文だ。 このたび三巻本の全集を通鑑し、小説作品の他、学生時代の習作や、内面の心情を吐露した日記・書簡などにより、全貌を知ることができたのは欣快のきわみ。 作家の本質を知るには、断簡零墨に至るまで読み込むのが望ましい。そして今、読み了えた。感無量。2021/12/22
姉勤
11
南洋の小品を集めた「南島譚」,「環礁」と、西遊記に取材した、「わが西遊記」、春秋から「古俗」習作的な「過去帳」そして、後半の大部分を占める日記と書簡。日記&書簡は他人の生活をデバガメするようで気乗りしなかったが、日本の南洋統治時代の気分や、家族に想いをよせる”中島敦”の人となりが感じられ、心をめくり返したかのような描写の多い、深く、上質な鬱屈の表現者から離れたパーソナリティーに出会えたのは収穫。沙悟浄を主人公にした「悟浄歎異」の悟空や八戒への感情は、実生活のトレス。2013/11/22
蛇の婿
9
この本のメインはパラオなどの南の島の物語です。全560ページのうち、後半270ページにわたる日記と書簡集に手こずり、なかなか読むのが大変でありました。ほぼ『普通の人でも書くと思われる、離れて暮らしてる恋女房への手紙』なんだもんなぁ…もっとも、中島敦さんがパラオに行ってからの手紙は個人的には興味深いものがあり、昭和十六年、十七年は、量的に多いものの、わりと一気に読めてしまいました。日本植民地時代~太平洋戦争開戦時のパラオのナマの風景であり、この本の前半、南の島の物語の下敷きになっている風景でもあります。2012/08/22