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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
91
コンブレー:まるでマシンガンから発せられたかのような私私…自己陶酔の比喩比喩…に、沼地に足をとられて退くことも儘ならぬ兵士の様に晒されて…ともすれば頁を繰る手を止めてしまう。挙げ句に結びはマザコンの愚痴と知れる。スワン:猿芝居のサロンと恋の茶番劇。裏を返せばもとは相方の高級娼婦と同等の娘をとっかえひっかえ遊び人が、興味のない対象に美的自負から愛を擦り付け深みに嵌まっていく…ただ己の美意識を投影させることで陶酔を得る愛の自縄自縛…◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!2017/07/01
優希
85
ずっと読みたいと思っていた本作、ようやく挑戦です。最初は長々とした語りに苦戦しましたが、『スワンの恋』の章に入ってからは物語にどっぷりと浸かり、その面白さを感じることができました。女性を弄ぶかのような振る舞いから、美的意識による愛の深みにはまる流れはフランスならではの自由なロマンスのように思えました。これから先、どのような世界が広がっていくのかとことん付き合おうと思います。時間はかかっても。2018/04/19
i-miya
48
2013.03.17-3(読んだわけではありません)『失われた時を求めて』の世界①。 2013.03.17-3 1871、パリ郊外、名高い医師である父と裕福なユダヤ人の母。 漱石、鷗外とほぼ同時代。 喘息もちの病弱な子供、母親に極端に甘える。 書くことへの関心と、同性愛への目覚め。 30代後半から『失われた・・・』の執筆に全精力。 1922、51歳、全体の2/3で力つきる。 「私」が、眠りに落ちるか、落ちないかのあわいにいる自分の意識を観察している場面から始まるこの小説。 2013/03/17
藤月はな(灯れ松明の火)
46
印象は、塩でできた山を足元を確実にしながら登っているような気分になる本です。丸ごと、回想という異色作。しかも一巻につき、700ページという配分で10巻分という長さで半日しか経っていないという物語の時間の流れ!「どんだけ描写に細かいねん」とツッコみたくなりながらも、この本の描写は日常を生活していて様々なことを見聞し、関連事項を想起し、自分なりに解釈して纏めている思考回路そのものなのだと感じました。果たして自分の記憶力が持つのかどうか分かりませんがぼちぼち、読み進めていこうと思います。2013/04/05
i-miya
43
2013.03.24(読んだわけではありません)『失われた時を求めて』の世界②(干場達矢)。 2013.03.24 ◎倒錯する情念と嫉妬の炎 麗人像が彩る皮肉な恋。 さまざまな恋愛が描かれる、恋模様語る小道具に使われる絵画の数々。 2つの恋の物語。 (写真)ボッティチェリ『モーゼの試練』(部分)(1481-1482、ヴァチカン、システィナ礼拝堂)。 モーゼの生涯のエピソードの一つを描く。 プルーストは、ラスキンの図版からオデットのイメージを作り上げた。 2013/03/24