内容説明
雨の音を聞かなくなって久しい―。雨だれの音、土にしみ込む雨足。便利になって得たものと、失ったもの。都会で一人暮らす詩人の胸をよぎるゆかりの人、なつかしい日々。それはやさしさと残酷さ、人生の重みに彩どられている。豊かな感性ですくいとられた人生の哀歓。
目次
1 暮しの周辺
2 言葉・読むこと書くこと
3 ゆかりの人・人
4 この岸で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
niki
3
石垣りんの散文があるのかと嬉しくなり借りる。 恨み節のような詩とは違い、生活に根差した柔らかい文章が多い。人に対する目も穏やか。 定年退職への心情の文章が多く、真面目に働いてきたことが伝わってくる。一生活者としての文章。優しく鋭い。/私は家族というものの親愛、その美しさが、時に一人の人間を食いつぶす修羅を思いえがく。すがる、という行為の弱さとすさまじい力。一方、尽くすことの反対給付は何だろう。2023/05/21
^o^っpe
1
昭和50年頃のことがりんさん目線で語られている。まだ戦争の記憶が残っていたんだなぁ。大昔読んだ詩集を思い出し、同じ頃読んだ蛙の詩が印象的な草野心平氏に「僕ァ、前に岡本太郎にもいったことがあるんだ。ウン、人がスピーチしているとき、しゃべるのは日本人の悪いとこだよ」と情熱的で充分いたわりをこめたお小言をもらった逸話が楽しい。2016/04/24
めめたそ
0
図書室本。石垣りんの詩はどこか、しっかりとした自分がいて、けっこう好きなのだが、それらの詩がどんなバックグラウンドを持って作られたかが、なんとなく垣間見える随筆集だった。複雑な家庭環境、早くから職業に就きお金を稼ぐ生活、さまざまなことを感じ取る感性―。石垣りんという人物のことがもっと気になるし、好きになる一冊だった。2011/03/15
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