内容説明
二人のアメリカ青年は、戦争の体験から戦友として信頼しあうようになるが、ナチスを信奉するオーストリアの青年は、有能な兵士になるにつれ人間性を喪失してよく。やがて三人は、バイエルンの森で運命の対決を迎える。『武器よさらば』『禅者と死者』と並ぶ戦争を舞台にした青春小説で1958年には映画化された。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
167
下巻に入り、ノア・クリスチャン・マイケルの 軍隊での日々は ある一瞬に向かって 突き進む。ユダヤと非ユダヤの戦い、 軍隊での日々、戦闘の非情… 三人の視点で語られる物語…最後は 無惨に 儚く 散っていく…そんな印象の作品だった。 2018/07/07
ケイ
115
チロルでスキー講師をしていたオーストリア人クリスチァン、ニューヨークに住む身寄りのない貧しいユダヤ人ノア、ロスに住み映画や芸術の中で暮らすマイケル。彼らは三人三様の理由で軍隊に入り、世界大戦に巻き込まれていく。クリスチャンはナチを信奉するドイツ人には冷たい目を向けていたのに、生真面目であったがゆえか次第に冷徹になっていく。本土決戦を知らないアメリカの若者二人は最後に何かを噛みしめる。そして、言いようのないラスト。このラストを読むために、1000ページ超ものこの作品を是非たくさんの人に読んでほしいと思った。2016/06/02
まふ
98
連合軍はノルマンディに上陸し、フランスを開放する。クリスチャンは上陸したマイケル、ノアを含む連合軍の圧力をジワリと受けつつ次第に後退してゆく。以降、この小説の最も精彩を放つ戦闘部分と主人公3人の生き様がリアルに描かれるが、蹂躙され解放される側のフランスの庶民、村人たちの受け止め方もクールに描かれていて興味深い。運命の3人は最後に出くわし、切ない最後を迎える。逞しくなったノアは死なずにアメリカに戻ってきてもらいたかった。底辺の立場から見た戦争の「無意味さ」がよく伝わって来る作品であった。G781/1000。2025/09/22
NAO
76
【学校・会社・組織週間】ドイツ人はユダヤ人を世界から排除しようとし、そのユダヤ人差別と闘うために兵隊になったノアは軍隊の中で同国人からすさまじいいじめを受けた。だが、ノアは正面からその差別と闘い、自分の位置を確保し、親友を作った。ノアが成長できたのは、どんなときも自分らしさを失わなかったからだっただろう。主人公の三人がただ一度だけ一堂に会するラストは、なんとも衝撃的だ。性格が破綻し悪の限りを尽くしたクリスチャンの最期はこんなものだろうとは思うが、誰よりもノアには生き残ってアメリカに帰国してほしかった。2019/07/24
キミ兄
4
普通の人間がどんどん兵士に変っていく様がリアル。片や戦争マシーンに、片や戦友を愛する兵士に。これは元には戻れない。☆☆☆☆。2017/10/19