内容説明
軍隊と戦争の罪悪を、エピソードを盛り込み劇的な構成でスリリングに描き出す、ショー初の長編小説。三人の主人公(ナチスに投じるオーストリア人、ユダヤ系アメリカ人、芸術を愛するアメリカ人)は、それぞれ前途に漠然とした不安を抱きながらも、青春を愉しんでいた。そこへ開戦。三人とも戦地に送られ、人間性は破壊され、堕落していく人々をまのあたりにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
158
第二次世界大戦の無惨さを 若者たちの 人生の変転を通して、描く。 上巻では 三人の若者たちの青春を 軸に、戦争が人生を破壊していく 過程を描く…マイケル、ノア、クリスチャンの 運命が どう変転していくのか?下巻に期待。 2018/07/06
ケイ
115
アーウィン・ショーと言えば、高校生の頃『夏服を着た女たち』を読んだけれどさっぱり理解できず、でもなんとなくアメリカの都会の雰囲気に憧れて、2作目に手に取ったのがこの作品。高校生にはまた別の意味で理解が難しく、アーウィン・ショーのバージョンの『日はまた昇る』かなと思ったのだ。今、登場人物を見守るような年齢になって再読すると、戦争が人を変える力を、特に若者に及ぼす影響力を見せ付けられる思いがし、作品の持つ力に驚いた。感想は下巻で。2016/06/01
NAO
72
【学校・会社・組織週間】オーストリアとアメリカ、立場も考え方も違う三人の若者が1938年の新年を迎える場面から話は始まる。やがて彼らは戦争のただ中へと踏み込んでいく。孤独と焦燥感をかかえた三人が、戦争という極限状態の中でいかに変貌していくか。同じ目的のもと同じ中隊にいながらも、そこには様々な人がいる。作者自身も戦争体験者ということで、軍隊生活の描写が何とも生々しく痛々しい。2019/07/23
しょうご
3
原題はYOUNG LIONS(1948)、著者自身も'42-'45にアフリカに従軍している。出だしは退屈だと感じたが、それは以降の導入部分、伏線として重要なエピソードであると直ちに判るし、人間個々が緻密に炙り描かれている。名もなき戦士もひとりひとりに人生がある。男と女の関係がある。WWIIの3年後に出版されているにもかかわらず、戦争全体の俯瞰さ加減、網羅性が強烈だ。しかし個々のシーンは身近な狭隘な範囲なのではあるけれど。木を見て森を自然に連想させてしまうというか、木を観て森の悲壮さを知らしめるというか。2017/10/29
キミ兄
3
1948年に書かれた本らしく、直接の体験者たちからの取材に基づくと思われる戦場の描写が実に生々しい。気をつけないといけないのは、この上巻の巻末解説がネタばれな件。あと、訳もなかなか難解。☆☆☆☆。2017/10/19