内容説明
オトカム―著者は自分にこう名づけた。MAKOTOを逆に読む。「ゴーマンなのだ。オトカムよ、オマエは怠けものなのだ」囲炉裏を囲み、ドブロクの茶碗を手にする男たちの話に耳を傾け、ムササビ射ちとけものみちを歩き、村人たちと温泉につかり、時の流れの中で変化する山の景色や生活を思う。力強いタッチで描かれた絵や文章に生き物に対する慈しみと好奇心にあふれた1冊。
目次
あてのない絵はがき
多摩川探検隊
ツブラ小屋のはなし
けものみち
ムササビ射ちの夜
森で
割箸工場へ
谷間で失った肖像
風説について
一所懸命の人
長者の聟の宝舟
ずいどう開通
山の声
白い道
引馬峠
山の歌
スキー場で
無法者のはなし
イヌキのムグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamakujira
3
紀行と随想、19編の文章をモノクロの挿絵が彩る。文章も絵も、ゆったりと流れる時を思わせてくれる。 (★★★★☆)
つちのこ
1
西木正明の『夢幻の山旅』を読んでから、この本を探していたがなかなか見つからず、ようやく丸善で見つけた。 1950年代の、作者が若かりし頃の旅の情景をたんたんとまとめている。辻まことの文章には初めて接したのであるが、飾りのないごく自然な文体にため息がでた。思わず「うまい」と唸ってしまった。また画文集だけあって、絵(版画?)がいい。生活感がある素朴なタッチにこれまた唸ってしまった。1999/09/08