内容説明
1972年、ブック・デザイナーとして活躍中だった著者は、洋本の原形である手づくりの製本術を学ぶため、ベルギーの国立学校に実習生として留学した。職人気質の先生たちとその周辺を浮彫りにし、ブリュッセルで学んだ五か月を活写した旅行記。明晰にして柔軟、ウィットに富んだエッセーが、ものを創るということ、生きるということについて、確かな手ざわりを与えてくれる。
目次
マドモワゼルに髭はなかった
スタッサール通り71番地
モロッコ革の本
デュルト氏とその家族
イクセルの池
ある週末
ケルンの国際コンクール
忙しい夏休み
1990年ブリュッセル―あとがきにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タキ
4
ルリユールとベルギー周辺の記録としても面白く読めたけれど、栃折さんを通してみた世界がとても魅力的だった。2008/03/25
sa-ki
2
長い休暇のつもりの留学が、2人の師から学べるだけ学びたいときついスケジュールを組み、展覧会開催を考えるまでに。著者の意識を変えさせるほど、ルリユールにも先生たちにも魅力があるのが伝わってくる。2009/08/02
mayumi
1
☆週刊誌に載っていた酒井順子さんの文章に書かれていて気になった本。この時代のブリュッセルに行ってみたかったと思う。本は紙派、時に装丁だけで本が欲しくなる私には手仕事による製本作業もとても興味深く感じた。2012/03/01
e-monsoon
0
前から気になっていて、古本市でみつけて購入した本。女性のエッセイは苦手な文体が結構あるのだけれど、すんなりと入っていくことができた。252ページの頭からは、涙が出てきてしまって電車のなかでは読めなかった。とてもよかった。2016/05/24